子・孫いも用サトイモ新品種「愛媛農試V2号」

タイトル 子・孫いも用サトイモ新品種「愛媛農試V2号」
担当機関 愛媛県農試
研究期間 1995~2004
研究担当者 玉置 学
浅海英記
発行年度 2004
要約 「女早生」の新生いもの肉部組織をカルス培養を利用して個体を作出、選抜を行い、育成した「愛媛農試V2号」は、「女早生」と比較して、草丈が若干高く、葉柄長が若干長く、子・孫いも収量が、1株当たり約30%多く、孫いもの形状が丸い新品種である。
キーワード サトイモ、女早生、カルス培養
背景・ねらい 愛媛県はサトイモ栽培で全国上位の産地である(H15年度の栽培面積は全国第13位、出荷量7位)。愛媛県では、粘りが強くて、食味の良好な子・孫いもを食用とする「女早生」が主要品種であるが、生産者からは産地の維持、活性化と商品の差別化を図るための新品種育成の要望が大きい。そこで、「女早生」タイプで収量性と品質に優れた新品種を育成する。
なお、「女早生」はジベレリン処理でも開花せず、交配による育成が困難であるために、カルス培養を利用して変異を導入する。
成果の内容・特徴
  1. サトイモの新生いもの肉部組織をカルス培養を行い、個体を作出し、選抜を行った。

  2. 育成した78個体から、平成10年度に「H7-O62」を優良系統として選抜し、平成12年度に「サトイモ愛媛1号」とした。平成13~15年に品種登録のための予備調査を行い、平成16年に「愛媛農試V2号」として品種登録申請をした(図1)。

  3. 地上部について、「女早生」と比べて、草丈が若干高く、葉柄長が若干長い。その他の草姿は「女早生」と同様で、葉色は緑で葉形は丸い。葉柄頸部の屈曲はほとんどなく、葉柄と葉はほぼ直角に位置する。葉柄のアントシアンの着色はなく、緑色である。また、えりかけの着色もない。開花もしない。

  4. いも部について、「女早生」と比べて、子いもの1個重が約30%多く、孫いもの数が約20%多いことから、1株当たりの収量が約30%多い。また、孫いもの形状は丸く、秀品いも重は約45%多い(表1)。いもの着生形態は「女早生」と同等であり、いもの利用部位は子・孫いも、調理後のいもの肉質は粘性であることも「女早生」と同等である。

成果の活用面・留意点
  1. 「女早生」との差は主にいも部の重量と形状であり、「女早生」からの品種切り替えは容易であると考えられる。
  2. 栽培面において、子・孫いもの肥大が良好で、十分な土寄せを行う必要がある。

  3. 愛媛農試V2号」は、愛媛県農業試験場が開発した「親イモの副芽を利用したセル苗優良種いも大量増殖技術」を利用して、全農えひめ及びうま農協が、増殖、種苗育成及び栽培を計画している。

図表1 219869-1.jpg
図表2 219869-2.jpg
図表3 219869-3.jpg
カテゴリ さといも 出荷調整 新品種 新品種育成 品種 良食味

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