1-メチルシクロプロペン処理によるカキ「平核無」果実の低温長期貯蔵

タイトル 1-メチルシクロプロペン処理によるカキ「平核無」果実の低温長期貯蔵
担当機関 和歌山県農林水総技セ
研究期間 2002~2004
研究担当者 以下同じ)
稲葉昭次
久保康隆
中野龍平(岡山大
播磨真志
発行年度 2004
要約 脱渋のための炭酸ガスと1-メチルシクロプロペンの同時処理を行い、渋味消失確認後にポリ袋で密封包装し、予冷後0℃で貯蔵すると、果肉硬度は3か月維持できる。
キーワード カキ、「平核無」、1-メチルシクロプロペン、低温貯蔵、ポリ袋包装
背景・ねらい 一般的に渋ガキ果実は日持ち期間が短く、流通期間中、あるいは貯蔵期間中に果実軟化が多発することが認められている。そこで、無核で食味良好な渋ガキ「平核無」の長期貯蔵技術を確立するために、既にカキ果実の早期軟化抑制効果が認められているエチレン作用阻害剤の1-メチルシクロプロペン(以下1-MCPと称す)(中野ら、2001;Harima et al、2003)の処理回数と、甘ガキ果実の長期貯蔵技術として用いられている低密度ポリエチレン製袋(以下ポリ袋と称す)による密封包装との組み合わせについて検討する。
成果の内容・特徴
  1. 炭酸ガスおよび1-MCPを同時処理し、果実の渋味消失を確認後、ポリ包装を行い、低温下に移すと、果皮表面に結露が発生し、貯蔵中に果皮表面に汚損が生じる。これを防止するため、低温下に移す前に果実の保存温度を徐々に下げる予冷を行う。
  2. 貯蔵中を無包装とした場合、果肉硬度が維持される期間は、1-MCP無処理では収穫後30日まで、1-MCPを処理しても処理回数に関わらず収穫後60日までである。(図1の「無包装」)。
  3. 果実をポリ袋密封包装して貯蔵する場合、1-MCP無処理果実では果肉硬度は貯蔵後数日で低下するが、1-MCP処理を行うと果肉硬度は収穫後100日程度まで維持され、果実間の果肉硬度のバラツキも少ない(図1の「ポリ袋密封包装」)。
  4. 低温貯蔵中、果実をポリ袋密封包装(厚さ0.06mm×縦200mm×横150mm)することで、果皮が乾燥して凹凸が生じ、商品性が低下することを抑制できる。
  5. 複数個のポリ袋密封包装は、貯蔵中の果実の老化・腐敗により他の健全果実への悪影響を招く恐れがあるため、包装は果実単位(個装)で行う。

成果の活用面・留意点
  1. 1-MCP処理は果実収穫後に脱渋のために処理する炭酸ガス濃度が既定値に達した後に、ガス化させた1-MCPを目的処理濃度に達するよう注入する。
  2. 1-MCP処理後の果実の渋味消失は、無処理の場合と同程度である。
  3. 1-MCPは現在農薬登録申請中である。

図表1 219914-1.jpg
カテゴリ 病害虫 かき 乾燥 長期保存・貯蔵 農薬 良食味

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