タイトル |
完熟たい肥を脱臭材とするたい肥切り返し後の悪臭抑制実証試験 |
担当機関 |
鳥取中小畜試 |
研究期間 |
2001~2003 |
研究担当者 |
庄野俊一
富谷信一
|
発行年度 |
2004 |
要約 |
完熟たい肥を脱臭材とする「たい肥脱臭」による悪臭の抑制効果を検討した結果、たい肥切り返し直後の悪臭除去率はアンモニアで95~100%、硫黄化合物類で90~99%と高い値を示す。
|
キーワード |
家畜ふん尿、たい肥、脱臭、アンモニア、硫黄化合物
|
背景・ねらい |
地域と調和した畜産経営を行っていくためには、たい肥舎の悪臭対策への取り組みが不可欠であり、効率的な悪臭抑制技術の確立が急務である。悪臭発生源としては畜舎及びたい肥化施設などが挙げられるが、その中でもたい肥化施設で高濃度の悪臭が発生し、特にたい肥化開始時及び切り返し時の悪臭は極めて濃度が高く、これが苦情の要因となる場合が多い。 そこで、低コストで省力的と思われる完熟たい肥を脱臭材として活用した「たい肥脱臭」の悪臭抑制効果を検討する。
|
成果の内容・特徴 |
- たい肥脱臭装置は、開放型のたい肥舎から悪臭が舎外に漏れないように生豚ふん(約20m3)をビニールシートで覆い、捕集した悪臭を送風機によって牛ふん及び豚ふん完熟たい肥(約3.5m3ずつ)の各々に低部から通気させる構造である(図1)。生豚ふんを切り返した直後の、牛ふん及び豚ふん完熟たい肥通気後の臭気濃度を表1に示す。
- 春期は、アンモニアが牛ふん及び豚ふん完熟たい肥ともに99%以上、4種の硫黄化合物は合計で牛ふん完熟たい肥で98%以上、豚ふん完熟たい肥で90%以上が除去できる(表1)。
- 冬期は、アンモニアが牛ふん及び豚ふん完熟たい肥ともに95%以上、4種の硫黄化合物も合計で93%以上が除去できる(表1)。
- 以上から春期と冬期の脱臭能力の比較で、アンモニアの除去率は冬期が低下する傾向を認める。また、豚ふん完熟たい肥と牛ふん完熟たい肥の脱臭能力は、大きな差がみられない。
|
成果の活用面・留意点 |
- このたい肥脱臭による悪臭抑制技術は、牛ふんや鶏ふんに対しても活用できる。
- 脱臭槽の完熟たい肥は乾燥しない程度の散水により脱臭能力が3か月以上維持される。
-
このたい肥脱臭装置の設置費は約33万円程度(屋根材は除く)、ランニングコストは通気ブロアの電気代だけの約9,000円/月程度と、ロックウール脱臭装置と比較して非常に低コストな装置である。
-
原臭のアンモニア濃度が常時200ppm以上発生している場合は、十分な脱臭能力は期待できない可能性がある。
|
図表1 |
 |
図表2 |
 |
カテゴリ |
乾燥
経営管理
コスト
低コスト
鶏
豚
|