地下水への窒素溶脱から見た乳牛ふん施用における堆肥化の必要性

タイトル 地下水への窒素溶脱から見た乳牛ふん施用における堆肥化の必要性
担当機関 滋賀農総セ
研究期間 2000~2004
研究担当者 土井真也
村田昌稔
藤田 耕
発行年度 2004
要約 副資材を用いず調製した乳牛ふんの完熟堆肥を飼料作物に施用した場合、生ふん施用に比べ作物の生育はやや劣るものの地下浸透水への窒素溶脱は小さく、環境に配慮した家畜ふんの施用のためには堆肥化が不可欠である。
キーワード 乳牛ふん、飼料作物、完熟堆肥、生ふん、地下浸透水、窒素溶脱
背景・ねらい 環境問題に対する意識の高まりに伴い、家畜排せつ物の適切な管理および有効利用を図ることが求められ、いわゆる家畜排せつ物法が施行された。また、家畜ふんの土壌への多量還元は硝酸態窒素による地下水汚染や植物体での含有量の増加が問題となっており、その適正施用は持続的農業の推進にとっても重要である。
そこで、完熟堆肥および生ふんの施用が飼料作物の生育や環境負荷に及ぼす影響を検討し、環境保全の視点から堆肥化の必要性を明らかにする。
成果の内容・特徴 乳牛の生ふんと、予備乾燥し堆積方式により調製した完熟堆肥を乾物量が同じ量になるよう飼料作物に施用した。飼料作物は夏作にソルガム、冬作にイタリアンライグラスの1年2作体系とし、5カ年8作を同じ圃場(ライシメーター)で連用した。ライシメーターは容量約1m3のタンクに土を充填し、深さ1mの位置にパイプを配置し、浸透水を採取できる構造とした。完熟堆肥として、切り返し後急激な温度上昇が認められなくなったものを使用した。
  1. 施用量は同一乾物量にすると、生ふんは完熟堆肥に比べ水分含量が多いため、2倍以上の施用量になる(表1、表2)。
  2. 炭素(C)を除き肥料成分含有率は、生ふんよりも完熟堆肥が高い(表1)。そのため、同一乾物量の施用では、窒素施用量は生ふんに比べて完熟堆肥の方が多くなる(表2)。

  3. 収量は生ふん施用は窒素施用量が少ないのにもかかわらず、完熟堆肥施用より多い(表2、図1)。
  4. 完熟堆肥施用は窒素施用量が生ふんより多いが、作物の窒素吸収量は生ふん施用より低い。溶脱窒素量および溶脱窒素濃度も生ふん施用より低く、環境への負荷は生ふん施用の方が大きい(表2)。

  5. 窒素溶脱量は連年施用により増加することはない(図2)。

成果の活用面・留意点
  1. 同一乾物量の施用では完熟堆肥の施用が土壌窒素肥沃度の増大に効果がある。

  2. 環境に配慮した堆肥の施肥基準を策定する必要がある。

図表1 219928-1.jpg
図表2 219928-2.jpg
図表3 219928-3.jpg
図表4 219928-4.jpg
カテゴリ 肥料 イタリアンライグラス 乾燥 飼料作物 施肥 ソルガム 乳牛

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