タイトル |
アスパラガス不定胚の同調化とシームレスカプセル化技術 |
担当機関 |
大阪食とみどり技セ |
研究期間 |
2002~2004 |
研究担当者 |
岩本 嗣
紀ノ岡正博(大阪大学)
金谷 忠(森下仁丹)
浅田雅宣(森下仁丹)
中辻雅章(森下仁丹)
田谷正仁(大阪大学)
尾島由紘(大阪大学)
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発行年度 |
2005 |
要約 |
同調化したアスパラガスの不定胚を同心三層構造のシームレスカプセルに封入する技術を開発した。作出したカプセルは、保存性・輸送性を兼ね備えた人工種子として利用できる。
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キーワード |
アスパラガス、不定胚、同調化、同心三層構造、シームレスカプセル、人工種子
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背景・ねらい |
アスパラガスの全雄栽培は、収量・品質面のメリットが大きい。また、雄株は結実しないため、実生株の雑草化を未然に防ぎ、除草に係る労力を大幅に軽減できる。そこで、アスパラガス雄株の不定胚を誘導し、同調化した不定胚をシームレスカプセルに封入した新たな人工種子を開発する。
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成果の内容・特徴 |
「不定胚の同調化」
- 2,4-D 2 mg/l、ジベレリン1 mg/l、ショ糖3%を添加したMS寒天培地で雄株の茎頂組織を8週間培養する。その後、ジベレリンのみを除いた同組成の培地で8週間ごとに継代培養を続けると、培養開始32週間後にはEC誘導率が55.3%まで向上する。
- EC懸濁細胞をホルモンフリーのMS培地で100μl/lの濃度に調整して不定胚を誘導する。図1の手順に従い、細胞集塊のサイズ選抜、培地交換、不定胚の希釈処理を行うと、6週間後には、1,000~2,000μmのサイズの不定胚が54.7%を占め、篩い分けにより同調化された不定胚を効率的に回収できる(図2a)。
- MS固体培地(ジェランガム1%)に敷いたろ紙上で、5日間脱水処理した4~6 mmの不定胚(図2b)は良好に発芽し、96%が植物体(図2e)になる。
「カプセル化」
- カプセルは3層構造(図3)とし、内層は培地と不定胚、中間層は硬化油脂皮膜、外層はゼラチン皮膜にすると、保存性・輸送性に優れたカプセルを作製できる(図2c)。
- 送液には、モーノポンプが適し、不定胚に損傷を与えることなく送液できる(図4)。
- 脱水処理後の不定胚を0.4~0.7%のローカストビーンガムを含む培地に懸濁することにより、カプセルへの不定胚封入率は99.8%に向上する。
「カプセル種子の特性」
- 表面殺菌したカプセルをMS寒天培地に播種すると発芽する(図2d)。カプセル作製直後の不定胚の発芽率は94.2%、4℃、3週間保存後は87.6%、8週間後は79.8%であり、貯蔵期間中のカプセルの変形は認められない。
- 特性審査基準に基づく16項目について生育特性を調査したところ、茎数は増加し、茎の太さはやや細くなるといった培養株の特性を示すが、残り14項目と染色体数、DNA分析の結果は、「ウェルカム」雄株(親株)と同等の特性を示す。
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成果の活用面・留意点 |
- 原々種、有用遺伝資源、組換え体などの国際間輸送のデリバリーとして利用できる。
- 微少な種子の取扱を容易にするコート種子への応用が期待できる。
- 低温保存と無菌条件下での播種が必要である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
病害虫
アスパラガス
遺伝資源
雑草
除草
播種
輸送
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