温湯浸漬処理によるクリ果実食入幼虫の防除技術と品質評価

タイトル 温湯浸漬処理によるクリ果実食入幼虫の防除技術と品質評価
担当機関 兵庫農総セ
研究期間 2003~2005
研究担当者 二井清友
廣瀬敏晴
発行年度 2005
要約 クリ専用温湯消毒器で50℃、30分間処理をすると、果実内のクリシギゾウムシ、クリミガに対して高い防除効果が認められ、翌年の発芽率の低下もみられない。また品質、食味調査でも従来の臭化メチル処理と変わらない同等の品質が保たれる。
キーワード 温湯処理、クリシギゾウムシ、クリミガ、防除
背景・ねらい クリ収穫後の果実食入害虫防除のための臭化メチル代替技術として温湯浸漬処理による技術を開発し、その利用を推進している。これまで温湯50℃、30分浸漬処理でクリシギゾウムシ及びクリミガが死滅し、その効果が高いことを確認している。そこで、温湯殺菌装置付催芽機を改良したクリ専用の温湯消毒器を用いてクリを処理し、クリシギゾウムシ及びクリミガに対する防除効果と品質に及ぼす影響を明らかにし、現場での普及を図る。
成果の内容・特徴
  1. クリの収穫果を2℃で26日間保存後、T社製の温湯殺菌装置付催芽機を用いて温湯浸漬処理を行う。処理後、流水で15分間冷却し、全自動洗濯機により5分間脱水し、乾燥する。その後室温におき、クリシギゾウムシ、クリミガの果実からの脱出状況を調査する。温湯処理区はこれら幼虫の脱出が全く見られず、無処理に比べ高い防除効果が認められる(表1)。
  2. 収穫後のクリを約1か月間2℃で保存後、1℃間隔で50~55℃の温湯で上記と同様の処理後、20日間2℃で保存し、11月中旬に無加温ハウス内のポリポットに播種する。翌年5月に発芽の有無を調査すると、50℃、51℃で処理したクリは全て発芽するが、52~54℃では発芽率が低下し、55℃ではほとんど発芽しない。
  3. 収穫後のクリを臭化メチル処理及びT社製のクリの温湯消毒装置を用いて温湯処理(50℃、30分)+自然乾燥 、温湯処理(50℃、30分)+脱水の3通りの処理後、5℃で3日間貯蔵後、圧力鍋で12分間調理する。一般消費者に対する品質、食味調査では、調理前、調理後とも温湯処理区は従来の臭化メチル処理区と比べ、果皮の色つや、果肉の色、香り、食味とも変化なく良好で、従来の処理と同等の品質が保たれる(表2)。
成果の活用面・留意点
  1. 収穫後の果実内の害虫の加害の進行を抑えるため、温湯処理を実施する場合は、収穫後出来るだけ早く処理する。時間をあける場合は2℃~5℃程度の低温で保存する。
  2. 処理後にはやや果皮が黒ずむ場合があるが、果肉の色や香り、食味には悪影響はない。
  3. 処理後に果実表面に水分が残ったまま貯蔵すると、果実表面にカビが生じる場合があるので、乾燥は十分に行う。長期間保存する場合は冷蔵保存する。
  4. 本機(栗工房YS500K(100kg用))の一回当たりの処理量は100kgで、一日に300~500kgのクリの処理が可能である。
図表1 220078-1.jpg
図表2 220078-2.jpg
図表3 220078-3.jpg
カテゴリ 病害虫 温湯消毒 害虫 乾燥 くり 播種 防除 良食味

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