タイトル |
トルコギキョウにおける石油小型給湯機を用いた畦内の熱水土壌消毒法 |
担当機関 |
和歌山県農林水産総合技術センター |
研究期間 |
2003~2005 |
研究担当者 |
増田吉彦
萩平淳也
白井雄祐
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発行年度 |
2005 |
要約 |
トルコギキョウの施設栽培において、石油小型給湯機を用いて畦内にドリップチューブにより145L/m2の熱水を処理すると、根腐病および立枯病が防除できる。
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キーワード |
トルコギキョウ、石油小型給湯機、熱水土壌消毒、畦内処理
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背景・ねらい |
熱水による土壌消毒方法は臭化メチル代替技術や環境保全型技術として注目されているが、必要な機器は価格が高く、大型であるため導入できる圃場が限定される。そこで、約25万円の低コストで導入できる業務用石油小型給湯機(40,000kcal/h、75℃出湯)を用い、定植できる状態に整地しビニルマルチした畦内に、ドリップチューブ(T-テープ:吐水間隔20cm、吐水量5L/m/h、)により散湯し、トルコギキョウの二度切り栽培における土壌消毒効果を検討する。
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成果の内容・特徴 |
- 85kPaの減圧弁を通して石油小型給湯機に給水すると(図1)、ドリップチューブは75℃の給湯に破裂することなく耐え、繰り返し使用できる。
- 8月の施設内において、145L/m2の熱水を120cm畦の表面に処理する条件で、30cm間隔で3本チューブを設置した処理では、地下25cmでの最高地温が61.5℃、50cm間隔2本処理においても52.2℃が得られる(表1)。
- 熱水処理はトルコギキョウの二度切り栽培の一番花採花時において、根の褐変と生育不良をもたらした根腐病(Pythium spinosum)に対し、対照農薬のダゾメット粉粒剤30kg/10aと同等の高い防除効果を示す(表2)。
- 二番花採花時において、下葉の黄化から萎凋・立枯症状にいたる立枯病(Fusarium oxysporum)に対し、ダゾメット粉粒剤の効果は著しく劣るが、熱水処理は高い防除効果を示し、二度切り栽培に必要な防除効果の持続性がある(表2)。
- ドリップチューブの設置法が防除効果に及ぼす影響は、一番花採花時、および二番花採花時にも大差なく、50cm間隔2本処理で十分と考えられる(表2)。
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成果の活用面・留意点 |
- チューブ長は出湯温度の低下を防ぐため、最長25mを目安に配管する。
- 石油小型給湯機での処理は、1回で畦長25m×2に給湯可能であり、10aの施設を毎日17時間処理・2週間で完了する。また、規模にあわせ複数台使用することもできる。
- 施設は閉め切って室内温度を35℃以上とすることが望ましく、6月~9月は処理可能である。なお、給湯機は室外に設置する。
- 処理後2~3日で定植可能であるが、過湿になる圃場では処理後の日数を確保する。
- 敷設したドリップチューブは熱水処理後、灌水用として利用できる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
病害虫
栽培技術
施設栽培
立枯病
低コスト
土壌消毒
トルコギキョウ
根腐病
農薬
防除
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