タイトル |
促成栽培イチゴのミカンキイロアザミウマの発生に影響をおよぼす要因 |
担当機関 |
奈良農技セ |
研究期間 |
2000~2003 |
研究担当者 |
井村岳男
福井俊男
松村美小夜
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発行年度 |
2005 |
要約 |
促成栽培イチゴを加害するミカンキイロアザミウマの冬期における発生は、春期から秋期に花き類が栽培されている地域に限定される。
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キーワード |
イチゴ、ミカンキイロアザミウマ、発生生態
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背景・ねらい |
促成イチゴでは、ミカンキイロアザミウマの加害による果実被害が問題となっている。本種は殺虫剤感受性の低下が著しく、防除が困難となっている。そこで、本種の効率的な防除対策を探るために、生産現場における発生生態を解明する。
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成果の内容・特徴 |
- 促成栽培イチゴにおけるミカンキイロアザミウマ(以下ミカンキイロと略記)の発生量は地域によって異なり、多発生地と少発生地が明瞭に区分できる(図1)。
- ミカンキイロの多発生地の圃場では冬期から本種が発生しているのに対し、少発生地では栽培期間を通してほとんど発生しない。また、ヒラズハナアザミウマは春期以降に全ての地点で発生する(図2、データは代表例)。
- 促成栽培イチゴにおける発生量の地域間差は、春~秋期の周辺雑草における本種の発生の有無と対応している(図3、データは代表例)ことから、地域によってミカンキイロの定着性に差があると考えられる。
- ミカンキイロの多発生地では、常に花き類(キク、鉢花類、花壇苗類など)が栽培されており、花き類での本種の比率は雑草における比率よりも高い(図3および図4、キク以外のデータ省略)。
- 以上の結果より、ミカンキイロの発生源は栽培花きと考えられ、冬期の促成栽培イチゴにおけるミカンキイロの発生は、これらの存在する地域に限定される。
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成果の活用面・留意点 |
- 花き類が栽培されている地域の促成栽培イチゴでは冬期以降のミカンキイロの防除が必要であるが、逆に花き類が栽培されていない地域には本種は定着しておらず、主に春期以降のヒラズハナアザミウマを対象とした防除のみでよいと考えられる。
- 少発生地でも春以降にはミカンキイロの発生が見られる場合があるが、その発生は一時的なものであり、冬期の発生は皆無である。
- 夏秋栽培ナス、半促成栽培トマトにおけるミカンキイロの発生も、栽培花きの存在する地域にほぼ限定される(データ省略)。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
病害虫
いちご
きく
雑草
トマト
なす
ヒラズハナアザミウマ
防除
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