タイトル |
促成実エンドウにおける被覆肥料を用いた施肥量削減 |
担当機関 |
和歌山県農総セ農試 |
研究期間 |
2001~2004 |
研究担当者 |
森下年起
藪野佳寿郎
|
発行年度 |
2005 |
要約 |
促成実エンドウの連作栽培において、被覆肥料100日タイプと速効性化成肥料を用いた全量基肥施用は、慣行と同等の収量、粗収益が得られる。窒素施肥量は2~3割、肥料費は1~3割削減できるとともに追肥を省略できる。
|
キーワード |
実エンドウ、連作栽培、被覆肥料、全量基肥、窒素削減、省力
|
背景・ねらい |
和歌山県の特産野菜であるエンドウ類は、連作障害のみられる代表的な品目である。産地では、連作障害を軽減するため太陽熱土壌消毒に加えて施肥量を増やしている。しかし、土壌養分の過剰集積による生育障害や硝酸態窒素の地下水汚染等の問題が指摘されている。そこで、被覆肥料を利用した実エンドウの施肥量削減技術を確立する。
|
成果の内容・特徴 |
- 被覆肥料エコロング100日タイプ20kgN/10aと化成5kgN/10aを全量基肥として施用した場合、慣行施肥N35.5kg/10a(基肥+追肥3回)に比べて、2~3月の収量が多く、4月が少なくなる。合計収量、粗収益は慣行と同等である(表1)。施肥量は、現地試験を実施した農家慣行に比べて約3割、地域の一般的な施肥量(30kgN/10a)に比べて約2割削減できる。
- 土壌中無機態窒素及び茎葉の窒素含有率は、被覆肥料全量基肥が慣行施肥に比べて、生育前半が高く、生育後半が低くなる。窒素吸収量は、被覆肥料全量基肥が約30kg/10aと慣行施肥に比べて1割程度少なくなる(表2)。
- 促成実エンドウ栽培における被覆肥料100日タイプの溶出率は、収穫終了時において80~90%である(図1)。
- 被覆肥料全量基肥の肥料費は、現地試験を実施した農家慣行に比べて約3割(データ省略)、慣行モデル指標に比べて約1割少なくなる。また、施肥の労働時間は、追肥が省略できるため、慣行に比べて半分となる(表3)。
|
成果の活用面・留意点 |
- 本試験は、紀中地域(日高郡みなべ町)において、9月下旬に播種し、12~4月に収穫する秋まきハウス冬春どり促成栽培の実エンドウ連作地での成果である。また、紀北地域(農業試験場)における試験(2002~2003年度)でも、被覆肥料全量基肥と慣行施肥の月別収量、総収量ともに差がない。
- 太陽熱土壌消毒を実施する圃場では、消毒後に施肥を行う必要がある。
- 無機態窒素が多く残存している圃場では、速効性化成肥料を省略する。
|
図表1 |
 |
図表2 |
 |
図表3 |
 |
図表4 |
 |
カテゴリ |
肥料
施肥
土壌消毒
播種
実えんどう
連作障害
|