マンガンあるいはリン酸過剰に起因するワケギの葉先枯れ症

タイトル マンガンあるいはリン酸過剰に起因するワケギの葉先枯れ症
担当機関 広島農技セ
研究期間 2000~2004
研究担当者 伊藤純樹
蔵尾公紀
発行年度 2005
要約 ワケギの葉先枯れ症である中央部から白く色抜けする症状の発生要因の一つはマンガン過剰であり、葉先部のマンガン含有率が1000 mg/kg以上で発生がみられる。また、葉先部のみ黄化褐変する症状の発生要因の一つはリン酸過剰である。
キーワード 野菜、葉茎菜、ワケギ、葉先枯れ症、マンガン過剰、リン酸過剰
背景・ねらい ワケギの葉先枯れ症は、県内産地で多発し、この障害によって出荷率が低下するため、問題解決が求められている。葉先枯れ症には、中央部から白く色抜けする、先端のみ黄化褐変する、先端が白く枯れ上がる、などの発生症状がみられる。これらの発生要因の一つに大気汚染(オキシダント)の関与が示唆されているが、その他の要因として生理障害の疑いがあるものの葉先枯れ症状と無機成分の関係は明らかにされていない。
そこで、葉先枯れ症の発生症状と無機成分の過不足の関係を検討し、葉先枯れ症の発生要因を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 現地(向島町岩子島)において、葉先枯れ症発生4ほ場と、葉先枯れ症無発生2ほ場から植物体と土壌を採取した。葉先枯れ症の発生3ほ場で葉先部のマンガン含有率が発生のない(正常)株に比べて高く、土壌の交換性マンガンが10mg/kg以上でpHが5以下である。なお、マンガン以外の無機成分の差異は明瞭でないが、葉先部のリン含有率が3ほ場で高い(表1)。
  2. 葉の中央部から筋状に白抜けする症状は、コンテナ栽培実験で、葉先部および地上部全体のマンガン含有率が高まり、それぞれ乾物約1700および400 mg/kgで発生がみられる(表2)。露地栽培実験においても対照区で無発生であるが、マンガン過剰施用によって葉先部および地上部のマンガン含有率が上昇し(表3)、中央部から筋状に白抜けする症状が過剰区で50%の株に発生する(図1-A)。
  3. 葉先端のみ黄化褐変する症状は、水耕実験ではリン酸過剰区で観察される(データ省略)。露地栽培実験においても同症状は対照区で無発生であるが、リン酸の過剰施用によって葉先部のリン含有率が上昇し(表3)、過剰区で55%の株に発生する(図1-B)。
  4. マンガンおよびリン酸の過剰処理により、露地栽培実験では両方の症状が複合して50%の株に発生する(図1-C)。
成果の活用面・留意点
  1. マンガン過剰障害発生ほ場でpHが低い場合は6.5程度に矯正する。
  2. 可給態リン酸含量が100 mg/100g以上の場合はリン酸含有資材の施用を控える。
図表1 220111-1.jpg
図表2 220111-2.jpg
図表3 220111-3.jpg
図表4 220111-4.jpg
カテゴリ 出荷調整 生理障害 わけぎ

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