タイトル |
大豆「サチユタカ」の高品質安定生産に向けたコンバイン収穫技術 |
担当機関 |
山口農試 |
研究期間 |
2001~2005 |
研究担当者 |
鳥居俊夫
桑原恵利
池尻明彦
岡本賢一
中司祐典
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発行年度 |
2005 |
要約 |
品質向上のための大豆「サチユタカ」のコンバイン収穫適期は、成熟期後7日から25日頃までである。収穫時刻は10時から16時、莢水分20%以下を目安とし、結露する日は、莢の露が消えて概ね2時間後に作業を開始することで汚損粒割合を低減できる。
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背景・ねらい |
山口県では2000年に「サチユタカ」を奨励品種に採用し、生産拡大と県産大豆の地産地消運動を進めており、現地では高品質な大豆の安定生産に向けた取り組みに加え、生産の省力化を図るため、大豆コンバインの導入が進みつつある。こうした中、品質低下の要因として、コンバイン収穫にともなう汚損粒の発生等が問題となっている。 そこで、汚損粒の発生を低減するため、収穫時期・時刻別の大気湿度及び大豆の各部位の水分と汚損粒発生の関係を明らかにし、高品質安定生産に向けたコンバイン収穫技術を確立する。
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成果の内容・特徴 |
- 収穫の開始時期は、汚損粒の発生割合が30%以下(検査等級3等相当以上)となり、色浅未熟粒の減少により汚損を除く外観品質も向上する成熟期後7日頃を目安とする(図1、図2)。
このとき、茎水分は70%以下となり、子実水分は16~18%程度で安定する。 - 収穫の終了時期は、しわ粒及び変質粒(腐敗粒)が増加して外観品質が低下し、裂莢による損失が大きくなるため、成熟期後25日頃を目安とする(図2、図3)。
- 汚損粒発生の日変動は、収穫時期にかかわらず、大気湿度及び莢水分の影響が大きい。収穫の開始時刻は、莢水分20%未満が目安となり、収穫初期では午後から、14日頃以降では10~11時からとする(図4)。
- 莢に結露する日は、朝露が消えた後も莢水分が高い状態が2時間程度続き、汚損粒割合が高くなるため、その時間帯が過ぎてから収穫を開始する(図4)。
- 収穫の終了時刻は、大気湿度が上昇し莢水分が戻り始める16時頃を目安とする(図4)。
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成果の活用面・留意点 |
- 本成果は、収穫時に土のかみ込みや青立ち株がない条件下の場内試験結果に基づくものである。実際の収穫作業の際には、葉が黄化、落葉せず莢の大半に青味が残る極端な青立ち株や雑草を事前に除去しておくことが必要である。
- 莢先熟の傾向が強く茎水分が低下しにくい年でも、収穫開始時刻の目安は莢水分20%であり、この場合、莢を指で押せば容易に裂莢する。
- 汚損粒の発生は、ほ場の地勢的条件(標高、日照、風通し)及び気象条件により大きく異なるため、ほ場条件等を考慮して1日の収穫スケジュールを決める。
- 「サチユタカ」は、裂莢性が「易」であり、成熟期前後が極端に乾燥する年では裂莢しやすくなり、収穫の終了時期が早まるので、刈り遅れのないように作業を行う。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
病害虫
乾燥
雑草
省力化
しわ粒
生産拡大
大豆
品種
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