タイトル |
糖度の異なるマスカットとピオーネに対する消費者評価と希望購入価格 |
担当機関 |
岡山農総セ |
研究期間 |
2002~2004 |
研究担当者 |
山本晃郎
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発行年度 |
2005 |
要約 |
消費者のマスカットとピオーネの評価は、地域にかかわりなく糖度15度台と17度台以上で大きく異なる。15度台は、「甘い」と評価しない消費者が17度台以上に比べて5~6倍多く、購入意向も低下する。逆に17度台以上の糖度では、消費者が購入してもよいと考える価格が15度台に比べて13~20%高くなる。
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キーワード |
ブドウ、糖度、消費者評価、購入意向、購入価格
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背景・ねらい |
果実販売価格の低下や果物消費量が減少するなかで、果樹産地の産地間競争が激化している。そのため、産地では消費ニーズを的確に把握し、それに合わせた生産と販売戦略の策定が重要になっている。 そこで、ブドウ‘マスカット’と‘ピオーネ’について、異なる糖度に対する消費者の評価や購入意向、価格受容性を試食調査で把握し、生産及び販売推進上の参考に資する。
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成果の内容・特徴 |
- 消費者は、マスカット、ピオーネともに食味評価を購入意向に強く反映させる傾向にあり、品目別ではマスカットよりもピオーネで、購入目的別では贈答用よりも家庭消費用でこの傾向が顕著である(表1)。
- ブドウの食味に影響する甘み、酸味、香り、肉質の各要素に対して、この順に40%、15%、20%、25%のウェイトを置きながら消費者は食味を評価しており、甘みを最も重要な評価要素に位置づけている(図表略)。
- その結果、マスカット、ピオーネともに甘みの評価と食味評価の間に相関関係が示唆され、消費者は甘み評価が高いほど食味評価を高くする傾向にある(表2)。
- マスカット、ピオーネともに「甘い」あるいは「非常に甘い」と評価する消費者は、地域にかかわりなく糖度17度台以上が95%程度であるのに対して、15度台は70%余りにとどまり、17度台以上と15度台の糖度で甘みの評価が大きく異なる。特に15度台では、「甘い」と評価しない消費者が17度台以上に比べて5~6倍多い(表3)。
- 家庭消費用400gパックに入ったマスカットやピオーネを購入する場合、消費者が妥当な価格と感じる価格帯の上限に、マスカットでは15度台と17度台で約20%、17度台と19度台で約9%の価格差が、ピオーネでは15度台と17度台で約13%の価格差があり、糖度が高いほど妥当な価格と感じる価格帯の上限が高い。また、「高すぎる」と感じて消費者が購入をあきらめる価格も、糖度が高いほど高い(図1)。
- 以上のことから、消費者のブドウ購入における食味重視の傾向が強まるなかで、糖度の高いマスカットやピオーネの生産は、高値販売の維持や販売促進を図るうえで重要になる。
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成果の活用面・留意点 |
- 農協等が生産者に対して出荷規格(糖度16度以上)を徹底する場合の推進資料に活用できるほか、差別化に向けた高糖度ブドウの直接販売を進めていく際の価格設定の目安になる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
出荷調整
ぶどう
良食味
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