タイトル |
都市的地域の学校給食における地産地消推進の取組 |
担当機関 |
大阪食とみどり技セ |
研究期間 |
2002~2004 |
研究担当者 |
内藤重之
|
発行年度 |
2005 |
要約 |
都市部における地産地消型学校給食の推進には給食関係者と地元生産者の努力や創意工夫のほか、自治体の農政部局や農協、既存納入業者の協力・連携が重要である。また、地場産原料の加工食品の導入等には都道府県段階の取組や連携が有効である。
|
キーワード |
学校給食、地産地消、都市的地域
|
背景・ねらい |
近年、食の安全・安心に対する国民の関心や食育の重要性に関する認識が高まっており、学校給食に地場産食材を導入・拡大する取組が各地で模索されているが、都市部ではその推進が困難な状況にある。そこで、学校給食に地場産食材を積極的に導入している大阪府内の都市(13市)及び埼玉県の取組事例の実態調査(2002年11月~2004年12月実施)から都市部の学校給食において地産地消を推進するための方策について検討する。
|
成果の内容・特徴 |
- 学校給食は、献立作成→食材(物資)購入→調理という流れで実施されるが、自治体ごとに独特の仕組みで運営されており、献立方式、食材購入方式、調理方式によって地場産食材の利用のしやすさが異なる(表1)。
- 都市部の学校給食において生産者等との契約的な取引により地場産食材の導入や利用拡大が困難な理由として以下の点が挙げられる。1)学校給食関係者の地域農業や生産者に関する情報が十分ではない。2)前もって決められた献立に従って大量の食材を安価に調達しなければならない。3)多数の生産者が地場産食材を供給している場合、教育委員会と生産者とが日々の数量調整や価格交渉、代金精算等を実施することは困難である。4)共同購入・単独調理方式では限られた指定時間内に多数の学校調理場に食材を配送しなければならない。5)天候不順等による欠品時の対応が困難である。
- 学校給食において地産地消の推進に成功している大阪府内の主な都市では次のような取組を実施している。1)農政部局や農業委員会が学校給食関係者と農協職員や生産者との仲介役を果たしたり、生産者の組織化を図る。2)教育委員会サイドが地元生産者の生産計画に合わせて献立を作成する、旬の時期にのみ地場産を導入する、共同購入であっても一部の調理場の使用分のみ地元生産者との契約取引を行うなどのきめ細かな対応を行う。また、生産者サイドでも数量確保を図るために、生産者が窓口となって市内の複数の生産者分を取りまとめて納入したり、生産者グループが隣接する自治体の生産者グループに出荷を要請するといった対応を行う。3)自治体の農政部局や農協が日々の数量調整や価格交渉、代金精算等を実施する。4)農協や既存の納入業者等が集荷・配送を担う。5)既存の納入業者等が欠品対応を行う(図1)。
- 農業生産の限られている都市部では各市単独の取組には限界があるが、埼玉県では県学校給食会を中心に関係機関が有機的に連携したこととあわせて、県単位で取り組んだことによって、1)農村地域を含む県内の集団産地から大量の食材が供給され数量確保が容易となったこと、2)県単位では多くの需要を見込むことができるため、加工業者もより積極的に開発・製造に取り組むことができたことなどから、地場産食材を使った多くの加工・冷凍食品が学校給食に導入できるようになっている(図2)。
|
成果の活用面・留意点 |
自治体が学校給食において地場産農産物の利用拡大を図る際の資料として活用できる。
|
図表1 |
 |
図表2 |
 |
図表3 |
 |
カテゴリ |
加工
出荷調整
|