タイトル |
不織布を利用したキャベツの無農薬・減農薬栽培技術 |
担当機関 |
山口農試 |
研究期間 |
2002~2005 |
研究担当者 |
西田美沙子
重藤祐司
刀祢茂弘
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発行年度 |
2005 |
要約 |
作型に応じて適切な不織布資材を「べたがけ」又は「浮きがけ」することにより、キャベツ栽培での虫害を軽減でき、また、盛夏期の太陽熱処理を併用することで生育・収量が安定する。
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キーワード |
不織布、被覆、無農薬・減農薬栽培、太陽熱処理、キャベツ
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背景・ねらい |
野菜価格の低迷が続く中で、新鮮で安心な野菜の供給が求められると同時に、無農薬・減農薬栽培等、付加価値の高い野菜生産を目指す生産者も増加している。 そこで不織布を利用して簡易で省力、低コストな被覆栽培を行い、キャベツの無農薬・減農薬栽培技術を確立する。
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成果の内容・特徴 |
- キャベツ結球部への虫害を軽減するために、以下の栽培方法が有効である。
(1) 本ぽ施肥は緩効性を含む肥料を使用し、全量基肥とする。 (2) 育苗時から被覆(浮きがけ)もしくは網室育苗をし、防虫対策を徹底する。 (3) 不織布内の雑草及び高温対策のため、白黒ダブルマルチなどを使用する。生分解性マルチも使用可能である。
- 被覆方法は、定植時期に応じ以下のとおりとする。「べたがけ(直がけ)」はキャベツが生長してもすそをもちあげることがないよう、幅に余裕を持たせて固定する。
(1) 表1)。 (2) 7月下旬~8月下旬定植では、高温時の定植のため、高温ストレス回避と病害虫による欠株防止に有効な遮光率40~45%のシルバー不織布を定植直後から「浮きがけ」する(表2)。 (3) 9月上旬~9月下旬定植では、光線透過率90%の不織布を定植直後から「べたかけ」する(表3)。
- 太陽熱処理を施肥・作畦後、透明フィルムで7月下旬から8月下旬まで全面被覆する方法で行う。これにより、土壌害虫による欠株および雑草の発生が抑えられ、生育・収量が安定する(表4)。
- 不織布やマルチ等の資材コストは、慣行栽培での農薬費と比較して10aあたり3万円程度高くなる。このため、1球あたり10円程度の高付加価値販売ができれば、経営的に成り立つ。
成果の活用面・留意点 |
- 標高50mの平坦地での試験である。
- 上記(2)の作型は定植時の粒剤施用を原則とし、不織布内の害虫発生状況によっては防除が必要である。
- 上記(3)の作型において太陽熱処理を実施した場合、マルチは必要ない。処理効果はその年の気象によって十分でない場合もあるため、被覆期間等の検討が必要である。
- 台風襲来時は「浮きがけ」の支柱を倒し「べたがけ」とする。
- この技術はキャベツの他、ブロッコリーなどに適用できるが、レタスは不織布内の高温により抽台が促進されるため不適である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
病害虫
肥料
育苗
害虫
キャベツ
経営管理
高温対策
高付加価値
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