単為結果性ナス品種「はつゆめ」の育成

タイトル 単為結果性ナス品種「はつゆめ」の育成
担当機関 高知農技セ
研究期間 2001~2004
研究担当者 岡田昌久
松本満夫
石井敬子
発行年度 2005
要約 ヨーロッパ産単為結果性品種と国産ナス品種を素材として、単為結果性F1系統「はつゆめ」を育成した。「はつゆめ」は、国内初の単為結果性をもつナス品種であり、高い結果率と良好な果実品質を示す。
キーワード ナス、単為結果性、省力化、促成栽培
背景・ねらい 促成栽培ナスは高知県の園芸を代表する品目である。産地では生産者の高齢化による労働基盤の脆弱化や価格低迷が大きな問題であり、その対策として省力化と生産コストの低減が急務となっている。これらに対応するため、ナスの単為結果性育種素材を探索したところ、ヨーロッパ品種に存在することが明らかになった。この形質を日本ナスに導入すれば、全作業の約30%を占める植物ホルモン単花処理や一シーズン約9万円/10aかかる訪花昆虫の放飼コストを省略することができる。このため、単為結果性をもつ促成栽培用ナス品種を育成する。
成果の内容・特徴
  1. 育成経過:1994年に「はやぶさ」の自殖後代とヨーロッパから導入した単為結果性品種「Talina」を交配し、その後、自殖を繰り返しながら単為結果性と果実形質について選抜し、形質の固定を進めた。2002年にそれらの系統間のF1を作出した。その中で系統「HT01A-5」と「HT01D-2」間の交配による「ナス高育交10号」はF1組合せ検定と生産力検定の結果から有望と判定され、2005年8月に「はつゆめ」と命名し品種登録申請した(図1、3)。
  2. 特性:促成栽培条件において、以下の特性を示す。
    1)
    生態的特性:加温ハウスでの促成栽培適性は標準品種「竜馬」並で、実用レベルの単為結果性を示す。
    2)
    形態的特性:「竜馬」に比べ、草勢はやや強く、草姿は立性で、節間長は同程度~やや長く、葉身はやや大きく、分枝性はやや弱い(表1)。
    3)
    果実特性・収量性:果形は果長/果径=2.9程度の長卵形で、果皮色は濃黒紫、へた色は濃紫、果面の光沢は強いなど果実の外観は優れる(表2)。果肉の硬さは「竜馬」並で、果皮はやや硬い。収量は「竜馬」より10%程度低く、A品率は同等以上である(図2)。
    成果の活用面・留意点
    1. 栽培初期の高温期における単為結果性の発現は不安定であるため、10月下旬までは植物ホルモン処理を行う。なお、適切な栽培管理方法は現在検討中である。
    2. 10℃-8℃-6℃の変夜温管理した促成栽培条件下で、「竜馬」並の生育を示す。草勢が弱くなると落花し着果率が低下するので、適正な肥培灌水管理で樹勢を保つ。
    3. 適応範囲は高知県内のナス促成栽培地域とする。
    図表1 220146-1.jpg
    図表2 220146-2.jpg
    図表3 220146-3.jpg
    図表4 220146-4.jpg
    図表5 220146-5.jpg
    カテゴリ 育種 コスト 栽培技術 栽培条件 省力化 単為結果 なす 品種 水管理

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