タイトル |
湿地カラー疫病抵抗性新品種候補「10W-2-101」、「11W-3-75」の育成 |
担当機関 |
京都農総研 |
研究期間 |
1999~2005 |
研究担当者 |
竹本哲行
末留 昇
蘆田哲也
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発行年度 |
2005 |
要約 |
疫病抵抗性品種「ウェディングマーチ」と早生で切り花品質に優れた「チルドシアーナ」の交配により、疫病抵抗性があり、早生で切り花品質が「チルドシアーナ」に近い湿地カラー新品種候補「10W-2-101」、「11W-3-75」を育成した。
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キーワード |
カラー、疫病抵抗性、品種育成、交雑育種
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背景・ねらい |
湿地カラーの主産地である京都府南部の山城地域では、仏炎苞が白色で年内採花可能な主力品種「チルドシアーナ」にカラー疫病が発生し、産地に壊滅的な被害をもたらした。そこで、疫病抵抗性品種「ウェディングマーチ」が導入され、栽培されているが、「ウェディングマーチ」では、開花時期が遅く年内に出荷できない点や、仏炎苞がやや黄色味を帯び、花茎が太く切り花品質が劣る点が問題となっている。そこで、交雑育種により、年内出荷が可能で切り花品質の優れた疫病抵抗性品種を育成する。
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成果の内容・特徴 |
- 「10W-2-101」は1998年に、「11W-3-75」は1999年に「ウェディングマーチ」を子房親に、「チルドシアーナ」を花粉親として交配した実生の中から選抜した系統である。
- 城陽市汚染圃において罹病した「チルドシアーナ」根部から分離したカラー疫病菌を選抜系統に接種し、疫病抵抗性検定を行ったところ、「10W-2-101」、「11W-3-75」とも、株当たりの葉数は無接種区と同等であり、罹病株率は0.0%であった(表1)。
- 「10W-2-101」については、切花長、切花重とも「チルドシアーナ」と同程度である。また、「11W-3-75」の切花長は「ウェディングマーチ」と同程度であり、切花重は「ウェディングマーチ」と「チルドシアーナ」の間である(表2)。
- 花茎径は、「10W-2-101」、「11W-3-75」とも、「ウェディングマーチ」と「チルドシアーナ」の間である(表2)。
- 採花開始期は「10W-2-101」、「11W-3-75」とも11月で、年内出荷が可能であり、収量性は「ウェディングマーチ」と「チルドシアーナ」の間である(表3)。
- 仏炎苞の横幅は「チルドシアーナ」と比べて、「10W-2-101」では広く、「11W-3-75」では狭い、また、色についてはともに「チルドシアーナ」と同程度の白色である(表4)。
- 以上のことから、「10W-2-101」、「11W-3-75」は、疫病抵抗性があり、早生で白色の仏炎苞を有し、「チルドシアーナ」に代わり得る新品種として具備すべき形質を持っている。
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成果の活用面・留意点 |
- 選抜系統は疫病抵抗性があり、カラー疫病の蔓延した地域においても生産が可能である。
- 湿地カラーは、湧水を利用した栽培が行われているが、本試験では、ビニルハウス内で冬期最低夜温を15℃とし、掛け流し栽培を行った結果である。
- 現在、現地適応性試験を行っており、両系統とも品種登録申請を予定している。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
育種
カラー
出荷調整
新品種
抵抗性
抵抗性検定
抵抗性品種
品種
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