タイトル |
ナシ園のナギナタガヤ草生栽培は雑草管理の省力化及び土壌改良に有効 |
担当機関 |
京都丹後農研 |
研究期間 |
2003~2005 |
研究担当者 |
安川博之
山口俊春
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発行年度 |
2005 |
要約 |
ナシ「ゴールド二十世紀」園におけるナギナタガヤ草生栽培は、雑草管理の省力化、土壌改良、土壌水分の安定化及び土壌中のVA菌根菌胞子数の増加に効果がある。
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背景・ねらい |
京都府丹後地域では丹後国営農地開発事業により新たに農地が造成され、ナシを中心とした果樹等が基幹作物となっている。しかし、開発農地の土壌は花こう岩風化土が多く、未熟であるなどの理由により、ここで生産されるナシ「ゴールド二十世紀」の品質は安定しない。そこで、イネ科一年生(越年性)雑草であるナギナタガヤを利用した草生栽培を導入することで、土壌水分の安定化や土壌の理化学性の改善を進める。
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成果の内容・特徴 |
- ナギナタガヤは5月下旬から枯死し始め、6月上旬には倒伏し、園内をマルチ状に覆うため、雑草発生を抑制する。そのため、草刈りや除草剤散布回数が従来の1/3になる(表1)。
- 乾物供給量は、雑草の約950kg/10aに比べ、ナギナタガヤでは約400kg/10aと少ない。しかし、ナギナタガヤのC/Nは42.5と雑草の18.3より高いことから、分解が遅く有機物としての効果が持続する(表1)。
- 土壌(深さ0~20cm)の孔隙率、全炭素、CECは、ナギナタガヤ草生栽培をすることにより向上し、硬度は低下する(表2)。また、ナギナタガヤが枯死・倒伏することによるマルチ効果で、雑草区や清耕区に比べ土壌水分の変動が少ない(図1)。
- ナギナタガヤの根には土着のVA菌根菌の共生が多く観察され、土壌中のVA菌根菌の胞子数が増加する(表3)。
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成果の活用面・留意点 |
- ナギナタガヤの播種量は3kg/10aで、種子の価格は4200円/kg前後である(2005年10月現在)。
- 雑草草生園からナギナタガヤ草生栽培へ転換する場合、種子を播く10日ほど前に除草剤で雑草を処分しておく必要がある。また、導入後、2~3年は園内に残っている雑草が繁茂してくるので、ナギナタガヤ倒伏後に除草剤のスポット散布を行うのが良い。
- 3月上旬に硫安を20kg/10a(N:4.2kg/10a)程度施肥することにより、春先のナギナタガヤの生育を促進できる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
病害虫
雑草
省力化
除草剤
施肥
土壌改良
播種
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