塩ビパイプを用いた簡易通気装置による堆肥化技術

タイトル 塩ビパイプを用いた簡易通気装置による堆肥化技術
担当機関 高知畜試
研究期間 2003~2004
研究担当者 豊田陽一
横山克郎
発行年度 2005
要約 送風装置のない既存の堆肥槽において、堆積した家畜ふんに塩ビパイプを挿入し、ブロアーで送風することにより堆肥化が促進できる。また家畜ふんの容積重が880kg/m3と高い場合は、リングブロアーを用い静圧200mm水柱で0.16m3/分・m3程度に送風量を高めることで堆肥化が可能である。
キーワード ブロアー、塩ビパイプ、送風システム、堆肥
背景・ねらい ブロアー施設のない堆肥舎において、切り返し作業回数の不足による、堆肥化期間の延長や切り返し作業時の悪臭発生などの問題点を解決するため、簡易な通気方法による試験を実証規模で実施し、省力・低コストな堆肥化技術の確立を図る。
成果の内容・特徴
  1. 肉牛糞を主とした家畜ふん20m3(肉牛ふん8割、鶏ふん2割程度でわずかに豚ぷんを含み、敷料、飼料残渣混入のもの)を堆肥槽(幅385cm、奥行き460cm、高さ200cm)において、容積重が適正値700kg/m3より高い828 kg/m3で堆積高が1.4m程度に堆積した場合でも、堆肥の底部に内径30mm長さ4mの塩ビパイプ(径8mmの吹出孔を20cm毎に左右に15カ所)を4本挿入し、適正送風量とされる0.05~0.1m3/分・m3の4倍程度が送風可能なターボブロアー(静圧200mm水柱で0.4m3/分・m3程度、電気料34円/m3で送風することにより、堆肥化が促進できる(図1、2)。また嫌気性発酵による悪臭も防げる。
  2. 塩ビパイプの堆肥内への挿入は、内径30mmの塩ビパイプに挿入可能な鋼管を用い、それを芯としてローダーあるいはフォークリフト等の車両で押し込む。また塩ビパイプを拭き取るときは、パイプの端に径6~8mm程度の穴を開け(送風時にはビニールテープ等でふさぐ)、そこに鉄筋を差し込みロープを掛けて車両で引っ張る。また、送風パイプのジョイント部は接着せず差し込むだけで外れず送風が可能である。
  3. 堆肥化に用いる家畜ふんが、高容積重(880kg/m3前後)で堆積高が1.8m程度の場合には、適正値とされる送風量の1.5倍程度の送風能力のあるリングブロアー(静圧200mm水柱で推定0.16m3/分・m3程度)を用い、底部と高さ80cmあたりに送風パイプをそれぞれ4本づつ挿入し、2段で送風することにより、堆肥化が促進できる(図3、図4)。その場合ブロアの電気料は40円/m3となる。
  4. 1段の送風システムにかかる材料費は約7万円で、2段の送風システムにかかる材料費は約12万円であり、既存の堆肥槽に手を加えずに活用できる(表1)。
成果の活用面・留意点
  1. パイプ挿入による堆肥化を行う場合、パイプの長さと挿入や引き抜くために用いる車両の長さ分のスペースが堆肥槽の前に必要である。また、パイプ挿入の作業には、パイプを保持する人と車両オペレーターの2名がいないとスムーズにできない。
  2. 堆肥化する材料の物理性等が適正な状態の場合、この送風システムでの送風量では多過ぎて、堆肥化発酵が停滞する恐れがあるため、送風時間で送風量が調節できるようにタイマーを取り付けておくとよい。
  3. 2段で送風する場合、上部ではショートパス等の空気の抜けが生じやすくなるため、上部へ送風する配管へバルブをつけて送風量を調整できるようにしておくとよい。
図表1 220195-1.jpg
図表2 220195-2.jpg
図表3 220195-3.jpg
図表4 220195-4.jpg
図表5 220195-5.jpg
カテゴリ 低コスト 肉牛

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