タイトル |
牛枝肉における脂肪融点の現状と脂肪交雑と融点の関係 |
担当機関 |
広島畜技セ |
研究期間 |
2004~2007 |
研究担当者 |
河野幸雄
長尾かおり
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発行年度 |
2005 |
要約 |
牛枝肉の脂肪融点は個体差が大きく、屠畜月齢が増すとともに低下する。脂肪融点と脂肪交雑の間に相関関係は認められない。
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キーワード |
牛肉、品質評価、脂肪融点、屠畜月齢、脂肪交雑
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背景・ねらい |
牛肉の品質評価は、従来「霜降りの良さ」を重視して行われてきたが、近年、消費者及び食肉業者から「おいしさ」や「肉の色」などの要素を加えた品質評価が求められている。消費者ニーズに対応した牛肉の生産、流通を支援するためには、新たな品質評価法、品質向上のための飼養管理や育種改良などの研究開発が必要である。 そこで、牛肉の新たな品質評価項目として、牛肉独特の風味や食感に影響を及ぼすと言われている脂肪の品質について、市場流通枝肉における実態を調査する。
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成果の内容・特徴 |
- 皮下脂肪融点は10~40℃まで幅広く分布しており、黒毛和種で10~30℃、交雑種で15~30℃、ホルスタイン種で20~40℃と品種間差が認められる(図1)。
- 品種毎の皮下脂肪融点平均値は、黒毛和種、交雑種、ホルスタイン種の順に低く、いずれの品種においても去勢牛より雌牛の方が低い(図2)。この傾向は交雑脂肪の融点についても同様である。
- 皮下脂肪融点は屠畜月齢が増すとともに低下し、その関係は品種の別に関わらず、去勢牛、雌牛それぞれに対する共通の関係式で表すことができる。皮下脂肪融点の低下量は、去勢牛で0.93℃/月、雌牛で0.72℃/月である(図3)。交雑脂肪融点も同様の傾向が見られ、月齢の増加に伴う融点の低下量は、去勢牛で0.58℃/月、雌牛で0.48℃/月である。
- 皮下脂肪融点と脂肪交雑の間に、相関関係は認められない(図4)。
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成果の活用面・留意点 |
- 皮下脂肪融点と脂肪交雑の間に関係性が認められないことから、脂肪融点を牛肉の品質評価における新たな評価項目として位置づけることが必要と思われる。
- 流通、販売現場で迅速かつ簡易に脂肪融点を測定できるよう、簡易な融点測定機器を開発する。
- ヒトの感覚に合致した脂肪融点の評価基準が必要。
- 脂肪融点は個体差が大きく飼養管理による改善の余地が大きいと考えられることから、飼養管理による脂肪融点制御技術の開発が必要。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
育種
飼育技術
評価基準
評価法
品種
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