タイトル |
傾斜地養液栽培システムによる夏秋トマト・促成ブルーベリーの栽培体系 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 近畿中国四国農業研究センター |
研究期間 |
2006~2006 |
研究担当者 |
伊吹俊彦
笠原賢明
青木宣明
東出忠桐
木下貴文
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発行年度 |
2006 |
要約 |
傾斜ハウス及び養液栽培システムを用いて、5~12月には夏秋トマト、1~5月にはブルーベリーのコンテナ促成栽培を行うことで、慣行に比べ長期の作物生産ができる。トマトでは収量が増加し、ブルーベリーでは国産果実の出荷の少ない4~5月に出荷できる。
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キーワード |
中山間、傾斜地、トマト、ブルーベリー、養液、収量、促成
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背景・ねらい |
中山間傾斜地のトマト栽培には、土揚げ作業や土壌病害、生産が不安定であるなどの問題があることから、これらを解決するため、これまでに傾斜地用の養液栽培システム及び傾斜ハウスを利用した夏秋トマト栽培体系を開発している(平成16年度近畿中国四国農業研究成果情報)。開発技術の普及には、トマト栽培に対する技術導入の効果を明らかにするとともに、夏秋トマトの栽培期間(5~12月)以外でも収入が得られるような作目の導入も必要である。そこで、中山間傾斜地の気象特性を活かして施設を有効利用する作目としてブルーベリーのコンテナ促成養液栽培を検討し、夏秋トマト・促成ブルーベリーによる周年栽培体系を開発するとともに開発した技術の導入効果を検証する。
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成果の内容・特徴 |
- 四国等の中山間傾斜地(標高300m以上)において、傾斜ハウスと傾斜地養液栽培システムを用いて、5~12月には夏秋トマト栽培を、1~5月にはブルーベリーのコンテナ促成栽培を行うことにより、慣行の体系に比べて長期間の作物生産が可能となり、施設や装置の周年利用ができる(図1)。
- ブルーベリーをコンテナに定植することにより、ハウスと露地間の移動が可能となる。コンテナ植え個体は、自発休眠の覚醒のために1月中旬まで露地圃場で栽培し、低温(7℃以下1000時間以上)に遭遇させた後、傾斜ハウスに搬入して加温(設定10℃以上)する。コンテナはトマトの培地に隣接して、栽植密度約0.7株/m2で設置する。酸性土壌を好む特性に対応するため、培養液のpHは4~6に調整して傾斜地養液栽培システムにより給液する。培養液はトマトで用いるものでよい。収穫後のコンテナ植え個体は、露地圃場で養液栽培システムにより、ハウス内と同様に管理する。訪花昆虫のいない低温期に開花するため、クロマルハナバチ等の受粉昆虫を導入する(図1)。
- ブルーベリーでは、促成栽培によって開花及び収穫の開始が30~50日早まる。推奨品種としては、収穫開始が早く、収量が多く、枯死率の低いWeymouth、Bluecrop、Sharpblueがあげられる(表1)。
- 傾斜ハウス及び傾斜地養液栽培システムの利用により、夏秋トマトの収量は慣行雨よけ栽培に比べて大幅に増加し、A品率も向上する。ブルーベリーのコンテナ促成栽培では、国産果実の出荷が少ない4~5月に高値で出荷できる。また、栽培期間が延びているにもかかわらず、殺虫剤使用回数はやや減少する(表2)。
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成果の活用面・留意点 |
- 本成果情報は、徳島県東みよし町山腹型傾斜畑地域(標高300~360m、傾斜4~25°)で得られた研究成果である。本成果情報を適用する場合、対象地域の気象条件によって、ブルーベリーのハウスへの搬入時期や両作物の収穫時期等が異なる場合がある。
- 傾斜ハウス及び傾斜地養液栽培システムを導入するための資材費は、それぞれ、10aあたり約300万円及び116万円であり、別に建設労賃が必要である。ブルーベリーのコンテナ促成養液栽培の導入に当たっては、別途、コンテナ(48×32×30cm)、培地、内張りフィルム等が必要であり、10a当りの資材費は、苗費用を除いて約62万円である。また、これらの他に加温設備が必要である。なお、ブルーベリーは挿し木による自家増殖が可能である。
- トマトの培地にはポリバッグに詰めた樹皮堆肥を用いる。ブルーベリーの培地にはpH未調製のピートモスを用いる。コンテナ植え個体の移動時には、培地の水分量を少なめにしておけば、重量は10kg以下となり、比較的容易に移動できる。
- ブルーベリーの果実収量は樹齢や樹容積で大きく異なり、1株あたり200g~1kgの収量を得るには樹齢4年生以上の個体を用いる。コンテナに植えて養液栽培した場合、品種によっては枯死しやすいものがある(枯死率=56%(Earliblue), 31%(Spartan))。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
傾斜地
栽培技術
栽培体系
挿し木
出荷調整
受粉
中山間地域
トマト
品種
ブルーベリー
マルハナバチ
養液栽培
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