水稲品種「シシクワズ」のイノシシ防除技術の活用の可能性

タイトル 水稲品種「シシクワズ」のイノシシ防除技術の活用の可能性
担当機関 滋賀県農技セ
研究期間 2003~2006
研究担当者 山中成元
森茂之
石庭孫義
鋒山和幸
上田栄一
発行年度 2006
要約 水稲の在来種「シシクワズ」は、芒が長く、野生イノシシの防除技術の研究素材として利用できる 可能性が高い。
キーワード 野生イノシシ、シシクワズ、水稲、芒
背景・ねらい 本県の中山間地域ではイノシシによる農作物被害が多発しており、防護柵や捕獲を中心とした対策が 講じられているが、多大な労力とコストを要する。
一方、人里側のエサ場価値の低減を総合的に行う観点から、様々な防除技術の開発が切望されている。 そこで、かつてイノシシの被害を受けにくいとして栽培されてきた水稲の在来種「シシクワズ」の被害状況に ついて調査し、防除技術の素材としての活用を検討する。
成果の内容・特徴
  1. 「シシクワズ」は芒が長く、出穂期および成熟期では「日本晴」とほぼ同時期である (図1、表1)。
  2. 「シシクワズ」は「日本晴」に比べ、穂の食害速度が2週間ほど遅い。また、芒の長い大麦でも、 芒の短い小麦に比べ被害が少ないことから、イノシシの採食にとって芒の長さが影響している可能性が 高い(図2、3)。
  3. 「シシクワズ」を1筆すべてに作付けした場合、作付け地付近へのイノシシの出没や水田への 侵入回数が増加しても、穂の食害はほとんど認められず、水田内の歩行跡の倒伏程度は、 機械収穫できるほど軽い(表2、3)。
  4. 以上の結果より、水稲の在来種「シシクワズ」は芒が長いことから、イノシシの被害を 比較的受けにくいと推測され、イノシシ被害回避に向けた様々な防除技術の研究素材として 利用できる可能性が高い。
成果の活用面・留意点
  1. 「シシクワズ」を利用して被害を回避するためには、山際からどれだけの距離、面積を 作付けすればよいかなど、今後、検討が必要である。
  2. 「シシクワズ」は、イノシシにおける食害を受けないメカニズムの解明や食害を受けにくい水稲の 品種改良の素材として活用できる可能性がある。
  3. 「シシクワズ」は、主食用としての食味は劣るが地域内流通への適用や中山間地域の放牧を視野に 入れた飼料作物として活用できる可能性がある。
  4. 「シシクワズ」の種子供給体制等については、今後検討を要する。
図表1 220243-1.jpg
図表2 220243-2.jpg
図表3 220243-3.jpg
図表4 220243-4.jpg
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カテゴリ 病害虫 大麦 コスト 小麦 飼料作物 水田 水稲 中山間地域 品種 品種改良 防護柵 防除 良食味

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