タイトル |
従事分量配当を行う集落営農型法人の経営指標値 |
担当機関 |
島根農技セ |
研究期間 |
2004~2006 |
研究担当者 |
竹山孝治
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発行年度 |
2006 |
要約 |
従事分量配当を行う集落営農型の4農事組合法人について、収益性・安全性・成果配分・利益還元などの 経営分析結果を明らかにするとともに、法人の部門構成の違いや設立後の経過年数による格差なども踏まえて、 経営指標値を作成した。
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背景・ねらい |
法人化する集落営農組織は徐々に増加傾向にあるが、農事組合法人において経営管理の目安となる 収益性・安全性・成果配分・利益還元などの経営指標はほとんど示されていない。そこで、従事分量配当を 行う集落営農型の4農事組合法人における経年的な経営分析結果をもとに、部門構成の違いや設立後経過年数に よる格差なども踏まえて、集落営農型法人の経営指標値を作成する。
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成果の内容・特徴 |
- 調査した4組織はいずれも比較的優良事例の農事組合法人であり、3法人が協業経営型、1法人が 作業受託型で、構成員数は平均24名である。経営受託水田における収益分配方式は、3法人が収入・費用 とも全体の面積割で行うプール計算方式、1法人が構成員ごとの管理水田の単収に基づく 収量別傾斜配分方式である。また、法人の部門構成は、3法人が水稲部門中心、1法人が農産加工部門 (もち・味噌・練り梅・笹巻き等)中心である(表1)。
- 収益性についてみると、4法人の2004~2005年の売上高は平均19,714千円(水稲71%、農産加工13%、 野菜12%、大豆4%)、売上高営業利益率は平均1.8%であったが、営業利益が黒字となった3法人に 限れば平均5.7%と高く、収益性の違いを考慮すると売上高営業利益率の指標値は2~5%に設定できる。 また、総資本回転率は水稲部門中心の3法人が平均0.77回であるのに対し、農産加工部門中心の法人は 1.13回とやや高く、部門構成の違いを考慮すると総資本回転率の指標値は0.8~1.1回に設定できる (表2、3)。
- 安全性についてみると、固定比率は平均88.3%であり、ややバラツキがあるが、ほぼ100%以内に 収まっており、固定比率の指標値は100%以下に設定できる。また、自己資本比率は法人設立後の 経過年数が長くなると次第に高くなる傾向にあるほか、事業拡大局面で40%前後まで低下した場合も みられたが、平均すると60.6%であり、自己資本比率の指標値は40~60%に設定できる (表2、3)。
- 成果配分についてみると、限界利益率は平均62.5%であったが、営業利益が黒字となった3法人は いずれも65%前後であり、営業利益の黒字実績を重視すると限界利益率の指標値は65%に設定できる。 また、付加価値に占める人件費の比率でみた労働分配率の指標値は、直近の米価水準における分配状況や 農産加工部門での高さなど部門構成の違いを考慮すると45~60%に設定できる (表2、3)。
- 法人の売上高に営業外収入を加えた総収入と構成員還元額(地代・畦畔管理手当・従事分量配当・ 労務費・役員報酬)から算出した構成員還元率の指標値は、2年間の実績から36%に設定できる。また、 構成員還元額に利益準備金・農用地利用集積準備金・次期繰越利益を加えた集落還元額をもとに 算出した集落還元率の指標値は40%に設定できる (表2、3)。
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成果の活用面・留意点 |
- 従事分量配当を行う農事組合法人の営農計画策定に際し、参考資料として活用できる。
- 従事分量配当を行う4法人の調査に基づいて作成した参考数値であり、確定給与を支払っている 農事組合法人では収益分配方法が基本的に異なるために指標として適用できない。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
加工
経営管理
畦畔管理
水田
大豆
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