イチゴの湛水式底面給水育苗技術

タイトル イチゴの湛水式底面給水育苗技術
担当機関 滋賀農技セ
研究期間 2004~2006
研究担当者 森野洋二郎
藤居和彦
谿英則
発行年度 2006
要約 イチゴ用小型ポットと塩ビ管を利用した湛水式の底面給水育苗技術を用いると、面積当たりの採苗数が 増加し、苗質、定植後の生育、収量が優れ、育苗時の炭疽病感染が回避できる。
キーワード イチゴ、炭疽病、湛水式底面給水育苗
背景・ねらい 滋賀県のイチゴの育苗法として、苗の安定生産と炭疽病の回避を目的にモミガラベット育苗(以下、 慣行育苗)などの雨除け隔離床育苗が普及しているが、依然として頭上かん水が原因と思われる炭疽病の発生が 後を絶たず、生産不安定の大きな要因になっている。
そこで、頭上かん水を行うことのない湛水式の底面給水育苗技術(以下、底面給水育苗)について検討する。
成果の内容・特徴
  1. 6cm間隔に直径4cmの穴をあけた塩ビ管を幅60cmに4列配置し、そこにイチゴ用小型ポット (直径4cm、深さ10cm)を用いて子苗を受け、子苗の根部を1日当たり1~2回、30分間湛水状態にする 方法で、頭上かん水を行わずに育苗できる。また、慣行のモミガラベッド育苗では親株床の横に幅150cmの 子苗床を設けているが、当育苗法では子苗床の幅を60cmに狭めても同等の苗数が確保でき、親株床や通路を 含めた育苗面積が約40%減少できる(図1)。
  2. 親株床はプラスチック製プランター650型を利用し、6月27日に株間40cm2条千鳥に親株を植え付ける。 親株へは午前10時と午後3時に1分30秒間、エバフローA型を用いてOKF-1の3000~2500倍液を給液する (株当り250ml)。子苗には水のみを与え、ポット受けは7月11日~9月11日まで行う。親株床および ポットの培養土は市販の園芸培土(TM-1)を用いる。
  3. 炭疽病の発病は、当試験では底面給水育苗、慣行育苗ともに認めていない(2005年、2006年観察)。 一方、現地では慣行育苗40戸の内7戸で炭疽病が発病したが、当育苗技術導入農家14戸では発病を 認めていない。(2006年聞き取り調査)
  4. 底面給水育苗における子苗床の塩ビ管の配列は4列が最も面積効率がよく、親株の株間を「章姫」で 40cm、「紅ほっぺ」で30cmにすることで、慣行育苗と同等以上の採苗数が得られる(表1)。
  5. 定植時の苗質は、底面給水育苗で葉数、クラウン径ともに慣行育苗を上回る。草丈は、育苗日数の 長い1次子苗や2次子苗で慣行育苗が徒長するのに対し、底面給水育苗で徒長が抑えられる一方、 3次・4次子苗では、底面給水育苗で生育が促進され、草丈が高くなる(表2)。
  6. 定植後の生育、収量についても、底面給水育苗は慣行に比べ同等ないし、優れる (表3)。
  7. 底面給水育苗に要する資材費は、慣行育苗に比べて育苗資材で2倍程度高くなるが、育苗ハウスが 小さくなることから、合計で1割程度のコスト高で済む(表4)。
成果の活用面・留意点
  1. 塩ビ管への穴あけは卓上ボール盤により効率的に行うことができる。
  2. 湛水後の排水は、塩ビ管内に水が溜まらないよう塩ビ管は水平に設置する。
  3. 育苗中の環境が、頭上かん水育苗よりも乾燥するのでハダニの発生には十分注意する。
  4. 底面給水育苗は雨除け施設内に導入し、親株も床土壌から隔離する必要がある。
図表1 220256-1.jpg
図表2 220256-2.jpg
図表3 220256-3.jpg
図表4 220256-4.jpg
図表5 220256-5.jpg
カテゴリ 育苗 いちご 乾燥 コスト 栽培技術 炭疽病

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