イチゴ高設栽培で同一株を多年利用する「イチゴ株据置栽培」技術

タイトル イチゴ高設栽培で同一株を多年利用する「イチゴ株据置栽培」技術
担当機関 広島農技セ
研究期間 2004~2006
研究担当者 伊藤栄治
今井俊治
坂本隆行
発行年度 2006
要約 同一株を多年利用するイチゴ株据置栽培は、定植時に芽の伸長方向を栽培ベッドの長さ方向と平行に 定植する。収穫を打ち切った5月から6月初旬に窒素中断を開始することで11月から収穫できる。
キーワード イチゴ、高設栽培、株据置栽培、窒素中断、省力化
背景・ねらい 慣行のイチゴ栽培では、収穫終了後に生産株を抜き取る作業や次作の生産株を確保するための 育苗作業を行っており、これら作業を省力化する要望は高い。高設栽培において、イチゴ生産株をそのまま 栽培床に据え置いて同一株で多年にわたり収穫する技術を開発する。
成果の内容・特徴
  1. 定植は、芽の伸長方向を栽培ベッドの長さ方向と平行(平行定植)にする。これにより、株の伸長は 一定方向となり、常にクラウン部分が培地に接した状態を保つことができる (図1)。一方、芽の伸長方向を栽培ベッドの外に向ける慣行定植 では、クラウン部分が培地から離れ、新しい根が発根しない株が発生し、収穫3年目から枯死株が発生 する(表1)。
  2. 収穫打ち切り後に液肥による施肥を中断(窒素中断)し、その後、花芽分化期までかん水のみを 行うことで花芽分化を促進する。5月から6月初旬までに窒素中断を開始することで、11月から収穫と なり、全期間の可販果収量は慣行栽培と同等である(図2)。
  3. 「株据置栽培」体系において、腋芽整理は窒素中断開始時と花芽分化時期に行い、窒素中断期間中は 適宜、ランナー、花房および古葉を除去し、7月中旬から9月まで50%の遮光を行う。 花芽分化確認後は、窒素中断を終了し液肥による施肥を開始する。施肥再開から2週間は OKF-1(O社製)2,000倍液を、その後は同肥料の1,500倍液を施用する (図3)。
  4. 収穫終了から花芽分化(窒素中断期間)の作業時間は227時間/10aであり、慣行の同期間に要する 作業時間696時間/10a(収穫終了後の株の抜き取り、育苗管理および定植作業)の約3割である (データ省略)
  5. 据え置き3年間(2003~2006年)での果実収量は、1年目587g/株、2年目725 g/株、 3年目709 g/株であり、慣行の育苗栽培と同等以上である(データ省略)。
成果の活用面・留意点
  1. 本技術は広島型高設栽培で品種「レッドパール」を用いることを基準としている。
  2. 平行定植では、果数整理の際、果房を栽培ベッドの外側に出す作業が必要となる。
  3. 防除体系は、収穫終了後から次の収穫終了後までを1作として組み立てる。
  4. 土壌病害回避のため、初年度は培地の土壌消毒を行い、無病苗を定植する。
  5. 株据置栽培の窒素中断期間における防除回数は、これまでの実績から、慣行の育苗期間での 防除回数より少ない傾向である。
図表1 220262-1.jpg
図表2 220262-2.jpg
図表3 220262-3.jpg
図表4 220262-4.jpg
カテゴリ 肥料 病害虫 育苗 いちご 栽培技術 省力化 施肥 土壌消毒 品種 防除

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