タイトル |
イチゴ育苗における不織布灌水法 |
担当機関 |
徳島農研 |
研究期間 |
2005~2007 |
研究担当者 |
今井健司
三木敏史
山下ルミ
板東一宏
米本謙悟
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発行年度 |
2006 |
要約 |
本灌水法は、イチゴ育苗において、不織布を小型成型トレイ上部に置き、点滴チューブで不織布を 介して植穴に直接灌水を行うものであり、水滴の飛散がなく、イチゴ炭疽病の蔓延を防止でき、均一な 灌水及び慣行育苗と同等程度の苗の生育、収量を得ることができる。
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キーワード |
イチゴ、炭疽病、育苗、灌水、不織布
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背景・ねらい |
近年、イチゴの育苗においては、省スペース及び省力化を目的として育苗用小型成型トレイの利用が 進んでいるが、灌水管理は主に頭上灌水で行われており、灌水ムラの発生や水滴飛散によるイチゴ炭疽病の 蔓延が生じている。そこで、より省力的で健全なイチゴの育苗を図るため、点滴チューブ及び不織布を 利用した苗の株元への灌水方法を開発する。
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成果の内容・特徴 |
- 不織布はU社製の底面給水用資材を用い、形状は成型トレイ上面を覆う大きさで、植穴部分は 四角形にくり抜き、苗を取り出しやすいように中心から放射状に切れ込みを入れ、中心部には水誘導の ため短冊状の切れ込みを入れる(図1)。
- 点滴チューブは、点滴孔が10cm間隔のものを用いて、24穴小型成型トレイ(6×4列)の場合は 1トレイあたり3本のチューブを配置することにより、均一な灌水が図れる (図1)。
- トレイ内植穴への灌水量の変動係数は、不織布を用いた灌水法では24%となり、頭上灌水の 37%に比べ灌水のムラは少ない(表1)。
- 苗の生育、収量は、頭上灌水とほぼ同等である(表2)。
- イチゴ炭疽病の伝染抑制は、頭上灌水に比べ著しく高い効果がある(図2)。
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成果の活用面・留意点 |
- 各トレイポットへの均一な灌水のため、育苗棚は水平にするとともに、育苗培土を均一に充填する。
- 挿し苗の活着時には、U社製の被覆用白色不織布のべたがけと50%遮光被覆を行う。
- 1日当たりの灌水回数は5~6回とし、1回当たり7分、点滴孔1孔につき1分当たり 10~15mL(株当たり27~52mL/回)とする。
- 不織布は、常に全体が湿った状態を保つため、日没前後に3分程度の濡らし灌水を行う。
- イチゴ炭疽病の蔓延防止には、雨よけとの組み合わせが必須である。
- 施肥については、株当たり窒素成分量70mg、肥効30日程度の置肥を挿苗活着後施用する。
- 不織布は、2年目までは問題なく使用できることを確認している。
- 本圃10a(7,200株育苗)当たり、不織布300枚と点滴チューブ360mが必要となり、その資材代は 合計93,900円である。
- 受け苗での適用についても可能である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
育苗
いちご
くり
省力化
施肥
炭疽病
水管理
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