タイトル |
傾斜ハウスを利用した冬季のコゴミふかし栽培技術 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 近畿中国四国農業研究センター |
研究期間 |
2003~2006 |
研究担当者 |
武内徹郎
小角順一
高木一文
伊吹俊彦
東出忠桐
笠原賢明
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発行年度 |
2006 |
要約 |
傾斜ハウスを冬季に有効利用できる山菜(コゴミ)のふかし栽培技術である。養成した根株を 1月中旬頃に掘り取り、傾斜ハウス内の装置でふかし栽培し、4月上旬までに収穫を終える。根株養成 ほ場10a当たり粗収益は1500千円前後と高い。
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キーワード |
傾斜ハウス、山菜、コゴミ、ふかし栽培、根株養成、自発休眠覚醒
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背景・ねらい |
傾斜ハウス等の技術導入により、傾斜地における夏秋トマトの高品質安定生産が可能となった。 しかし夏秋トマト後の冬季の施設利用について有効な方法は十分提示されていない。そこで、傾斜ハウスを 冬季に有効活用する作物として山菜(コゴミ、植物名:クサソテツ)を選定し、施設を周年利用できる ふかし栽培技術を開発する。
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成果の内容・特徴 |
- 養成した根株を1月中旬頃に掘り取り、傾斜ハウス内のふかし装置に伏せ込んで加温する。 2月中旬頃から収穫を開始し、4月上旬に終える。夏秋トマトの施設内本圃栽培期間(4月下旬~12月上旬) とは重ならず、傾斜ハウスの有効利用が図れる。
- コゴミ根株養成圃場で、トマト養液栽培後の排液等を利用した灌水を行うと生長が促進され、 ふかし栽培に利用するには通常3~4年要する根株養成期間を1年程度短縮することができる (図1)。
- ふかし装置は傾斜ハウスのトマトベッドの上に棚を設置するベッド方式である。かがんだ作業となる コンテナ方式よりも作業姿勢が改善される(図2)。モミガラ培地を 使用したふかし床には1m2当たり100株前後伏せ込みが可能である。根株養成ほ場10aに 対応する面積は、ふかし床面積ではおよそ1a、通路も含めたハウス使用面積では2.5a程度となる。
- 根株養成ほ場10a当たりの作業時間は1,413時間であり、収穫・調製出荷作業は全作業時間中68.8%、 株掘り取り・培地定植作業は21.2%を占める。
- 根株養成面積10a当たりの収穫量は520~670kg、粗収益1466~1755千円、所得は1038~1360千円となり、 夏秋トマト後の冬作として有望である(表1)。
- コゴミの自発休眠覚醒に必要な7.2℃以下の低温遭遇時間は600~700時間、生育に必要な有効積算温度は 556℃、基準温度は0℃であり、これらの数値を用いると、ふかし栽培の作期を拡大し、 より計画的・安定的出荷を行うことができる(図3)。
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成果の活用面・留意点 |
- 中山間地域の冬作として適用できる。
- ふかし栽培に用いる根株は計画的に自家増殖したものを利用する。
- 自発休眠覚醒に必要な低温遭遇時間と、生育に必要な有効積算温度の結果は単年度(2005年)の 試験結果である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
傾斜地
栽培技術
出荷調整
中山間地域
トマト
養液栽培
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