タイトル |
苗冷蔵によるプリムラ・マラコイデスの開花促進技術 |
担当機関 |
和歌山県農総技セ農試 |
研究期間 |
2004~2006 |
研究担当者 |
西島 隆明((独)花き研究所)
川西 孝秀
島 浩二
矢部 泰弘
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発行年度 |
2006 |
要約 |
プリムラ・マラコイデスのセル苗を、8℃・24時間連続照明下において30日間冷蔵処理し、 出庫・鉢上げ時期を10月中旬とすると11月中~12月上旬にかけて開花する。苗冷蔵処理後のジベレリン施用が 開花促進効果を高め、秀品株率が向上する。
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キーワード |
プリムラ・マラコイデス、苗冷蔵、開花促進
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背景・ねらい |
花壇苗市場では、花の咲いていない苗(ラベル苗)よりも開花した苗(花付き苗)が高値で取引されている。 プリムラ・マラコイデスの場合、ラベル苗の出荷時期である年内に花付き苗を出荷できれば、高付加価値苗に よる有利販売を行うことが可能と考えられる。そこで、プリムラ・マラコイデスのセル苗冷蔵処理による 開花促進技術について確立する。
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成果の内容・特徴 |
- 苗冷蔵時の温度を8℃とした場合開花が促進し、24時間連続照明下で冷蔵することでその効果が 安定する。14℃では開花促進効果は認められず、2℃ではその効果が不安定である (図1)。
- 冷蔵期間が15~45日間の場合、期間が長くなるにつれて開花が早く、開花株率も高くなる。 30日間以上の冷蔵を行った場合、開花促進効果は概ね安定し、15日間の処理では開花が遅く不安定である (図2)。 開花時の苗のボリュームは冷蔵期間が長いほど小さくなる。草丈および株幅等を考慮すると30日間の 処理が適当である(データ省略)。
- 高温期である9月下旬に鉢上げを行った場合、花柄の伸長抑制・花芽形成の停止などの異常開花に より秀品率が大きく低下する。鉢上げは気温が比較的に冷涼となる10月中旬以降とする (図3)。
- 鉢上げ後のジベレリン施用は開花促進効果を高め、花柄の伸長を促す。施用濃度を10~100 ppm とした場合、いずれの施用濃度においても一斉に開花し、秀品株率が向上する。開花時の苗の ボリュームは施用濃度が高いほど小さくなり、100 ppmの施用濃度では商品性がやや劣る (表1)。
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成果の活用面・留意点 |
- ラベル苗の出荷時期である11月下旬から年内に、付加価値の高い開花苗を販売できることから収益の 向上が期待できる。
- 一坪のプレハブ低温庫を用いた場合、1回の入庫でセル苗2万株を処理できる。冷蔵施設の 耐用年数を10年とした場合、原価償却費と運転費用、処理株数の試算から、苗冷蔵処理にかかる 経費は6円/株と試算できる。
- 苗冷蔵に用いる苗には本葉7.5枚以上のセル苗を使用する。それよりも若い苗を用いた場合は開花が 不安定となる。
- 処理期間中は蛍光灯による24時間連続照明(200 lux程度)を行うことで開花が安定し、照明時間の 短縮および照度の低下により開花が不安定となる(データ省略)。
- ジベレリンの施用濃度は農薬登録の使用基準どおり10~20ppmとする(詳細省略)。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
病害虫
高付加価値
出荷調整
農薬
プリムラ
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