タイトル |
冬季寡日照地域での土壌改良と樹形管理によるバラの増収 |
担当機関 |
鳥取園試 |
研究期間 |
2002~2006 |
研究担当者 |
岸本真幸
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発行年度 |
2006 |
要約 |
重粘質土壌により寡日照向け整枝法の効果が十分でない圃場では、パーライトとピートモスを用いて 気相率を高め、冬季寡日照向け樹形改良を行なう。この結果、地上部および地下部とも旺盛に生育し、 収穫初年目の収量は、処理前の2.7倍に増加する。
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キーワード |
重粘質土壌、樹形改良、土壌改良、パーライト
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背景・ねらい |
平成10年度成果情報で「冬季寡日照地域における切りバラの増収整枝法」を報告し、普及に移したが、 重粘質土壌で栽培するバラでは、十分な増収効果が得られなかった。そこで、現地の重粘質ほ場で、改植時に 土壌改良を施し、寡日照向け樹形改良を組み合わせた増収法を検討する。これらの改良が、地上部の乾物重や 根の生育および収量に及ぼす影響を調査し、重粘質土壌におけるバラ栽培の資とする。
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成果の内容・特徴 |
- 定植前の土壌改良
(1) 排水対策の改良資材としてパーライトを土壌容積の15%、カナダピートモスを土壌容積の10% 投入する。なお、パーライトの投入量は、pF1.5の液相が28~29%、気相が45~46%となるよう 土壌条件により調節する(表1)。 (2) 暗渠が埋設されている場合は、暗渠に向けて20~50cm間隔でボーリングを行い、排水孔(φ31mm)を 開け、パーライトを詰める。 (3) 深耕ロータリー(作土深50~60cm)で畝位置を耕耘し、スコップなどで高さ40cm、床幅80cmの高畝を 作成する。 - 定植後の樹形改良
(1) 定植から収穫開始までの樹形管理は次のとおり。 慣行の樹形管理では、定植後に発生したシュート全てをピンチして母枝とするが、改良樹形では、 発蕾時の茎径が6mm以下の細いシュートは分岐位置から折り曲げ、太いシュートを母枝とする (平成10年度研究成果情報参照)。 (2) 収穫開始以降の樹形管理は次のとおり。 日照が不足する冬期に、発蕾時の茎径が6mm以下の細いシュートが発生すれば、分岐位置で折り曲げ、 採花枝数を制限する。 - これらの管理効果
(1) 上記1の管理により、高畝全土壌の物理性がほぼ均一に改善され、定植から18ヶ月後の地上部の 推定乾物重は、慣行(無処理)の約1.6倍に増加する(図1)。 (2) 上記1と2の併用で、定植後2年間に渡って慣行(無処理)よりも根群が広がり、根長が長くなる (図2)。また、定植から18ヶ月後の地上部の推定乾物重が、慣行の 2倍以上に増加し(図1)、収穫初年度の年間収量(定植後2年目11月 ~翌年10月)は、慣行(無処理)の2.7倍に増加する(図3)。
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成果の活用面・留意点 |
- 対象は、冬季寡日照となる重粘質土壌。
- かん水は、pF2.1(深さ30cm)で開始する。
- 土壌改良によって加算される諸材料費は、a当たり約5万円である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
改植
栽培技術
土壌改良
ばら
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