タイトル |
梅干しシコリ果の構成物質と発生要因 |
担当機関 |
和歌山農総技セ |
研究期間 |
2004~2008 |
研究担当者 |
三宅英伸
城村德明
土田靖久
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発行年度 |
2006 |
要約 |
梅干しの果肉が部分的に硬くなるシコリ果は、果実内に発生した空洞の周辺組織の細胞壁にカロースが 合成し硬化したものであり、果実肥大後期の果肉細胞径の異常肥大により空洞果の発生率が高まり、シコリ果の 発生を助長する。
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キーワード |
ウメ、生理障害、シコリ果、カロース、果肉細胞
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背景・ねらい |
「南高」梅干しの一部分が硬くなるシコリ果は、年により著しく発生し、産地で問題となっている。そこで シコリ果を構成している物質を明らかにするとともに、栽培条件がシコリ果発生におよぼす影響を明らかにする。
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成果の内容・特徴 |
- 梅干しシコリ果のシコリ部および正常部細胞において、カロースを染色するアニリンブルーに浸すと シコリ部細胞壁が青く染まる。また、果肉内部に空洞のある青採り果を塩漬けするとシコリ果となり、 シコリ部にカロースの合成が認められる(図1)。
- 前年の結果枝中デンプン含量が少ないと、果肉細胞数が減少して、その後、肥大後期に果肉細胞が肥大し、肉内に空洞が発生しやすくなる(図2)。
- 果実の肥大初期(3月下旬~5月中旬)に土壌を乾燥させると、果肉細胞数が少なくなり、その後、 肥大後期(5月中旬~収穫終了)に多量のかん水(15mm/日)を行うと、果肉細胞径が大きくなり、空洞果の 発生率が高くなる(図3)。
- 硬核期以降に摘果を行うと果肉細胞数に変化はないが、果肉細胞肥大が促進され、空洞果の発生率が 高くなる(図4)。
- 以上のことから、梅干しのシコリ果は、果肉中に発生した空洞の周辺細胞にカロースが合成されて できるものである。空洞ができる要因としては、前年の結果枝中デンプン含量が少ない場合や細胞分裂期の 土壌乾燥により果肉細胞分裂が抑制されて細胞数が減少し、肥大後期の個々の細胞肥大促進により空洞となり 発生するものおよび、硬核期以降に着果数が少なくなったため、肥大後期の果肉細胞の肥大が促進され 発生するものがある。
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成果の活用面・留意点 |
- シコリ果発生を軽減するための栽培管理技術指標作成の資料とする。
- 果肉へのピン突き刺し処理やカメムシ吸汁等の物理的傷害果においても、傷部にカロースが合成され、 塩漬け後にシコリ果となる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
うめ
カメムシ
乾燥
栽培技術
栽培条件
生理障害
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