タイトル |
大豆油精製副産物を用いた低コレステロール高トコフェロール卵の生産 |
担当機関 |
大阪食とみどり技セ |
研究期間 |
2004~2005 |
研究担当者 |
出雲章久
石塚 譲(大阪食とみどり技セ)
藤田忠久(大阪府立大学)
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発行年度 |
2006 |
要約 |
植物ステロールを主成分とする大豆油精製副産物を若齢の産卵鶏に給与すると、生産性や卵質は 変わらないままで、コレステロール含量が有意に10%低下し、トコフェロール含量が10倍に増加して、 低コレステロール高トコフェロール卵の生産が可能になる。
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キーワード |
卵用鶏、植物ステロール、コレステロール、トコフェロール
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背景・ねらい |
鶏卵は栄養や調理特性に優れた食品であるが、高コレステロール血症の増加に伴って、 コレステロールの多い食品の中では必要以上に敬遠される傾向にある。植物ステロールは人で 血中コレステロールを低下させる効果があり、抗酸化作用が強いトコフェロール(ビタミンE)は 消費者の評価が定着している。この両者を含有する大豆油精製副産物を産卵鶏に給与して、 低コレステロール高トコフェロール卵の生産技術を開発する。
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成果の内容・特徴 |
- 大豆油精製副産物は脱臭スカムからトコフェロールを抽出した残渣で、これを乾燥して卵用鶏に 給与する。乾燥物には49%の植物ステロール(シト:スチグマ:カンペ各ステロール=5:3:2)と、 0.8%のトコフェロール(α当量)が含まれている。
- 大豆油精製副産物の添加割合を、2、5、10%として給与すると、添加割合に依存した効果が 認められ、給与を中止すると効果は消失する。実用的な添加割合は5%である。
- 老齢鶏(15~17ヶ月齢・1区30羽)の給与試験では、血漿コレステロールと全卵コレステロールは 減少傾向を示すが有意ではなく、全卵トコフェロールは有意に増加する。卵黄色は有意に低下するが、 その他の卵質や鶏卵の生産性に変化はない(図1)。
- 若齢鶏(6~9ヶ月齢・1区30羽)の給与試験では、血漿コレステロールは減少傾向を示し、 全卵コレステロールは有意に約10%減少する。12~15%の減少は給与期間中でもその後の上昇を 招くため、コレステロールの生合成を刺激しない減少率は10%程度と見られる。全卵トコフェロールは 10倍に有意に増加する。卵黄色は低下傾向で、産卵日量は増加傾向を示し、その他の卵質や鶏卵の 生産性に変化はない(図2)。
- 若齢鶏・老齢鶏ともに夏季、秋季、冬季の給与試験で同様な結果が得られる。このため、若齢鶏を 用いれば、全卵コレステロールが有意に10%少なく、全卵トコフェロールが10倍多い鶏卵の、 年間を通じた生産が可能となる。
- 生産された鶏卵に植物ステロールは含まれていない。
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成果の活用面・留意点 |
- 大豆油精製副産物は乾燥・粉砕を要するが、長期の乾燥はトコフェロール含量を低下させるので、 乾燥期間は1~2日程度にする。
- 飼料への混合も7~10日間隔で行うと、トコフェロール含量の低下を防止できる。
- 菜種など他の食用油の精製工程でも、同様な副産物が発生する。
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
乾燥
大豆
鶏
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