牛の放牧時排糞を利用したノシバ播種法

タイトル 牛の放牧時排糞を利用したノシバ播種法
担当機関 高知畜試
研究期間 2001~2005
研究担当者 日高亜紀
発行年度 2006
要約 結実期のノシバ草地に牛を放牧し種子を採食させた後、新規造成地で放牧することで、種子を含む 糞から発芽したノシバが定着する。被度拡大は頭数増、複数回の放牧、複数年度での実施により促進。採食に 加え湿潤寒冷状態で休眠打破の効果が高まる。
キーワード ノシバ、放牧、肉用牛
背景・ねらい 従来、シバ草地造成は栄養茎繁殖により行われてきたが、労力の負担が大きいこと及びシバ草地完成 までに長期間を要することが問題となっている。そこで、急傾斜・小規模な中山間耕作放棄水田等の 有効利用のため、人力や機械作業によらずに半永久的にシバ草地を省力的に造成するための播種技術として、 あらかじめノシバ種子を採食させた牛の放牧・排糞を利用する。
成果の内容・特徴
  1. 結実期のノシバ草地に肉用繁殖牛0.75頭/aを1日間放牧し種子を採食させた後、新規造成地で 2日間放牧することで、牛が種子を含む糞を分散して排泄し、発芽したノシバの株が定着する。
  2. 造成初年目の糞中ノシバ種子の発芽カ所数は6カ所/a、2年目は9カ所/a、ノシバ被度は 0.36%程度となり、飲水場、給餌場及び陰地等の条件で散布が偏ることはない (図1)。
  3. 既存ノシバ草地が確保できている場合は、「牛の放牧頭数を増やす」「種子採食後の放牧を繰り返す」 「複数年度で実施する」ことにより、被度拡大が促進される。
  4. ノシバ種子を強制給与させた糞中の種子回収率は28時間前後、発芽率は24~28時間前後が高くなる (図2)。また、放牧条件下では採食されたノシバ種子の糞中への 出現は、放牧開始後29~97時間が最大となる(図3)。このことより、 結実期のノシバ草地に牛を48時間放牧後、新規造成地へ移動し48時間放牧することにより、効率的に シバ草地を造成できる。
  5. ノシバ種子の休眠は牛の採食によって打破されるが、越冬期の湿潤寒冷条件が加わることで更に 発芽し易くなる。
  6. 未完成の造成地に牛を放す場合、イヌビエやイタリアンライグラスの不耕起播種により牧養力の 増強が可能であるが、両草種組み合わせの場合は、夏期の牧養力が低下することに注意が必要である。 (表1)。
成果の活用面・留意点
  1. 播種について人役を使うことなしに効率的にシバ草地を造成できる。
  2. 不食過繁地についてはヒメジョオン等の不食草を早期に除草することで拡大が抑制される。しかし、 過放牧になると可食草が衰退することにより不食過繁地が拡大する傾向があるので牛の入牧頭数は 必要最小限に控える必要がある。また現時点ではシバ草地完成までに要する期間が策定されておらず、 継続調査が必要である。
図表1 220325-1.jpg
図表2 220325-2.jpg
図表3 220325-3.jpg
図表4 220325-4.jpg
カテゴリ 病害虫 イタリアンライグラス 除草 水田 中山間地域 肉牛 播種 繁殖性改善

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