有機質資材由来液肥を用いた茶園の点滴施肥の効果

タイトル 有機質資材由来液肥を用いた茶園の点滴施肥の効果
担当機関 京都茶研
研究期間 2004~2006
研究担当者 神田真帆
上田真也
原田和也
発行年度 2006
要約 覆い下茶園の点滴施肥に、魚、ゼラチン及びトウモロコシ由来液肥を用いると、硫安液肥とほぼ同等の 品質が得られるが、魚及びトウモロコシ由来液肥は、土壌の塩素イオン濃度が高まりやすい。
キーワード チャ、茶園、点滴施肥、有機液肥
背景・ねらい 点滴施肥法は、年間窒素施肥量を削減しても収量、品質を維持向上できる有効な技術として、 てん茶園を中心に現地導入茶園が拡大している。そのような中で、有機質資材由来の液肥(以下、 有機液肥という)の利用が増えつつあり、施用に関する知見が求められるようになったため、有機液肥を 覆い下茶園の点滴施肥に用いた場合の効果について明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. カツオ由来液肥(以下、魚A液肥という)は土壌のアンモニア態窒素が硫安液肥よりも高めに推移する が、アジ・イワシ由来液肥(以下、魚B液肥という)、食用ゼラチン由来液肥(以下、ゼラチン液肥と いう)、トウモロコシ由来液肥(以下、トウモロコシ液肥という)は、硫安液肥と比べて、地温が 15℃以下では土壌採水液のアンモニア態窒素濃度が低く、15℃以上になるとほぼ同等に推移することから、 いずれの有機液肥も芽出し肥の時期となる4月以降に施用すると、土壌中のアンモニア態窒素を硫安液肥と 同等に確保することができる (表1、図1)。
  2. 有機液肥を施用した新芽の個別アミノ酸構成比は、硫安液肥と比べて、アスパラギン及び アスパラギン酸、セリンが多く、テアニンが少ない傾向が見られるものの、新芽の全窒素及び全遊離 アミノ酸含有率には液肥の違いによる大きな差が見られず、ほぼ同等の品質が得られる (表1、表2)。
  3. 魚及びトウモロコシ由来の液肥を用いると、茶樹の生育を抑制する塩素イオン濃度が土壌採水液及び 土壌浸透水で高まる傾向がみられ、特に、魚由来液肥はその傾向が顕著であるため、硫安液肥よりも低い 濃度で利用する必要がある。
  4. ゼラチン液肥は、土壌採水液中の塩素イオン濃度、土壌浸透水中の硝酸性窒素濃度が硫安液肥と同様に 低く、てん茶園において、2~5月に硫安液肥と同様の方法で施用すると、土壌中の窒素濃度、収量、 荒茶の全窒素及び全遊離アミノ酸含有率が硫安液肥とほぼ同等となる。また、芽出し肥の時期となる 4~5月のみの施用でも同様の効果が得られる(データ省略)。
成果の活用面・留意点
  1. 年間窒素施用量45kg/10aの窒素肥料費は、全量硫安を用いた場合は7,290円/10a、4~5月に ゼラチン、それ以外の時期は硫安を用いた場合は43,105円/10a、2~5月ににゼラチン、それ以外の 時期に硫安を用いた場合は70,655円/10aとなる。
  2. 有機液肥施用後に通水することで、点滴孔の目詰まりは起こらない。
図表1 220330-1.jpg
図表2 220330-2.jpg
図表3 220330-3.jpg
図表4 220330-4.jpg
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カテゴリ 土づくり 肥料 施肥 てん茶 とうもろこし

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