ウメ枝枯病の主要伝染源の解明と病斑形成枝の粉砕機利用による防除

タイトル ウメ枝枯病の主要伝染源の解明と病斑形成枝の粉砕機利用による防除
担当機関 和歌山農総技セ
研究期間 2003~2007
研究担当者 島津 康
発行年度 2006
要約 ウメ枝枯病の枯枝上の病斑は胞子形成能が高く、伝染源として重要である。枯枝や病斑形成枝は園内に 放置すると伝染源となるが、これらを粉砕機で粉砕すると放置してもほとんど胞子が生産されず伝染源と ならないため、耕種的防除法として有効である。
キーワード ウメ、枝枯病、伝染源、耕種的防除
背景・ねらい ウメ枝枯病の主要伝染源は枝病斑と推測され、樹内には形成後の経過日数が異なるさまざまな病斑が 存在するが、これらの伝染源としての能力は不明である。そこで、これらの胞子形成能を比較し、枝病斑の 主要伝染源としての役割を明らかにする。また、ウメの剪定枝は園内で未利用資源として大量に存在し、 この有効な利用法として粉砕機による粉砕物のウメへの施用が普及しつつある。そこで、伝染源となる 病斑形成枝の処分方法として粉砕機による粉砕の有効性を検討する。
成果の内容・特徴
  1. 発病樹に剪定後も残る枯枝の多くに病斑が認められ、39%に子座を形成している。これらの病斑から Botryosphaeria属菌が40~50%の割合で分離されるのに対して、無発病園の枯枝での分離割合は 1.9%と低い(データ省略)。
  2. 子座が認められる枯枝病斑では、多くの場合胞子が形成され、外観で子座の認められない枯枝病斑でも 胞子形成率が高く、生産される胞子数も他に比べて多い。これに対して生存枝病斑では胞子形成率が低く、 生産される胞子数は極めて少ない(図1)。
  3. 病斑形成枝を粉砕機(粉砕後の平均枝片大きさ28×3.4mm)で粉砕すると、粉砕物での胞子形成は 直後から少なくなり、冬期(2/8)にウメ園内に放置した場合128日後(6/16)~290日後(11/20)まで、 ほとんど胞子は形成されない。これに対し、病斑形成枝を粉砕せずに放置すると柄胞子及び子のう胞子の 形成は290日後まで認められる(図2)。
  4. 粉砕直後の粉砕物からBotryosphaeria属菌が17~33%の割合で分離されるが、 園内放置後128~290日の間まったく分離されない。これに対し、粉砕せずに放置した枝病斑での分離割合は 日数の経過とともに徐々に低下するが290日後も27%である(図3)。
  5. 冬期(2/8)から128日間園内に放置した病斑形成枝の粉砕物をウメ1年生苗に接種しても157日後 (11/20)の1樹当たり病斑数は健全枝粉砕物接種、無接種と同様に少ないが、粉砕せず放置した 病斑形成枝接種苗の発病は他に比べ有意に多い(図4)。
成果の活用面・留意点
  1. 剪定時及び発芽期頃に、発病樹内の枯枝や病斑形成枝を剪除することにより、 伝染源量を減少させることができる。
  2. 枯枝や病斑形成枝の粉砕物は伝染源にならないので、粉砕機による粉砕はウメ枝枯病伝染源の伝染源を 減少させることができ、有効な処分方法として利用できる。
  3. 粉砕した枝からは、安息香酸等のウメ根に対して有害な物質が浸出するので、ウメ樹冠下に施用する 場合は50日程度放置した後に行う。
図表1 220334-1.jpg
図表2 220334-2.jpg
図表3 220334-3.jpg
図表4 220334-4.jpg
カテゴリ 病害虫 うめ 防除 未利用資源

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