タイトル |
キクのタバコガ類防除のための簡易な露地ネット被覆法 |
担当機関 |
奈良農総セ |
研究期間 |
2005~2006 |
研究担当者 |
国本佳範
小山裕三
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発行年度 |
2006 |
要約 |
露地キク栽培での4mm目合いネットを用いたタバコガ類の物理的防除法において、キュウリ用 支柱用パイプと直管パイプを組み合わせて骨格を構成する方法は、設置が容易で、設置経費はパイプハウス 骨格より大幅に削減できる。
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キーワード |
タバコガ類、物理的防除、ネット被覆、キク、露地栽培
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背景・ねらい |
キクの露地栽培では、タバコガ類幼虫による被害が大きな問題である。主に殺虫剤散布により 防除しているが、十分な効果を得られない生産者が多い。小規模な圃場でも利用可能で周辺環境やキクの 開花に影響がない、ネットによる物理的防除が有望だが、設置コストの削減が栽培現場から望まれている。 そこで、従来より設置コストを大幅に削減する新しいネット被覆法を開発する。
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成果の内容・特徴 |
- 農業用鉄パイプ(径19mm)を湾曲させたキュウリ用支柱2組を十字に組み合わせた4本脚支柱を 圃場周囲に約5m間隔で設置する。この支柱の地際部と湾曲部を直管パイプを連結して囲み、 骨格を構成し、各交叉部はフックバンドで固定する。ポリエチレン製青色4mm目合いの防風ネットを 被覆し、パッカーで固定する(図1)。
- 設置資材経費は5aでネットも含め187,320円で、パイプハウス骨格の半分以下である。 1年当たりの費用は27,612円である(表1)。
- 整地された圃場では、5aの設置に要する時間は14.6時間×人、撤去は7.5時間×人である (表2)。ネット展張作業を除き、作業者への負担は軽い。
- タバコガ類成虫の圃場内への飛来を抑制し、10月上旬の調査では対照区の被害茎率32.8%に対し、 ネット区では3.7%と被害防止効果は高い(図2)。
- 殺虫剤散布回数も平均8回→4.5回に削減でき、被害率10%でも収支に見合う (表1)。
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成果の活用面・留意点 |
- 耐風強度に関しては、最大瞬間風速25m/s(1mm目合い寒冷紗)程度までしか確認できていない。 雨を含む台風などの強風時および積雪時には必ずネットを除去する。
- ネット被覆・除去作業時にネットがひっかからないよう、あらかじめフックバンド等の突起物を 覆う養生作業を行う。
- 4本脚の支柱設置には2名以上の作業者が必要である。また、ネット内部での薬剤散布や収穫作業の 支障にならないよう高さ2m以上を確保する。
- 畝立て後の圃場に設置するため、4本脚支柱が畝を跨ぐように設置するなどして、圃場利用面積が 減少しないようにする。
- 4mm目合い防風ネット被覆では、ネット内での最高気温は外気温と大差ない。また、白さび病発生への 影響も観察されていない。
- 5aの圃場被覆の場合、防風ネットの重さが70kgを超える。
- 青色ネットを用いた場合、遮光効果によりキクがしなやかになり品質が向上する。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
病害虫
きく
きゅうり
コスト
防除
薬剤
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