タイトル |
野外採集したヒメハナカメムシ類によるシシトウガラシのアザミウマ類防除 |
担当機関 |
和歌山農林水技セ |
研究期間 |
2004~2006 |
研究担当者 |
井口雅裕
福嶋総子
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発行年度 |
2006 |
要約 |
野外で宿根バーベナなどの景観植物を栽培するとヒメハナカメムシ類が自然発生し、6~7月に 多くなる。そのヒメハナカメムシ類を天敵採集装置で採集して雨よけ栽培シシトウガラシに放虫すると、 重要害虫アザミウマ類を10月まで防除できる。
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キーワード |
ヒメハナカメムシ、土着天敵、野外、採集、シシトウ、アザミウマ、防除
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背景・ねらい |
シシトウガラシ栽培では重要害虫アザミウマ類の防除に苦慮している。果菜類のアザミウマ類防除対策と して、すでに市販の捕食性天敵ヒメハナカメムシ類の利用技術が実用化されているが、より低コストで、 より地域生態系に配慮した方法として、野外で自然増殖した土着のヒメハナカメムシ類を有効利用した シシトウガラシのアザミウマ類防除技術を確立する。
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成果の内容・特徴 |
- 野外の遊休地で宿根バーベナやスカエボラなどの景観植物を栽培すると、ナミヒメハナカメムシと タイリクヒメハナカメムシが5~10月に自然発生し、6~7月に多くなる (図1)。優占種はナミヒメハナカメムシである。
- 景観植物で増殖したヒメハナカメムシ類は、動力ブロワを用いた天敵採集装置を利用して1人で 効率的に採集できる。成虫と幼虫の採集効率は、7月は4~21%程度である(表1)。
- 6月下旬にヒメハナカメムシ類を景観植物から採集して雨よけ栽培シシトウガラシに放虫 (1株あたり成虫3.5頭、老齢幼虫5.0頭)すると、放虫直後はアザミウマ類の増加を抑えきれないが、 約1か月後にヒメハナカメムシ類が増殖してアザミウマ類を減少させる(図2)。
- ヒメハナカメムシ類はシシトウガラシに定着し、栽培終了の10月までアザミウマ類を低密度に 抑えつづける(図2)。ヒメハナカメムシ類の定着後は、 アザミウマ類による被害果率を7%未満に抑えることができる(表2)。
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成果の活用面・留意点 |
- 天敵採集装置は2005年度テスト機(みのる産業株式会社作製、特許出願中)を用いた。
- 景観植物でのヒメハナカメムシ成虫の生息数は、発生ピーク時は1m2あたり 100頭以上と推定される。天敵採集装置の採集効率を5%としても、1度の採集で景観植物1m2 あたり5頭以上のヒメハナカメムシ成虫が採集できる。景観植物100m2から連続2度 繰り返して採集すると成虫1,000頭が得られ、市販天敵の10aあたり使用量に相当する。
- 6月中旬頃からヒメハナカメムシ類の採集と放虫ができるようになる。それまでは、 ヒメハナカメムシ類に影響が小さい選択性殺虫剤で本圃のアザミウマ類の発生を抑えておく。
- 本技術は、露地栽培シシトウガラシや他の果菜類のアザミウマ防除に応用できる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
病害虫
害虫
カメムシ
ししとう
低コスト
土着天敵
バーベナ
防除
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