スギ、ヒノキ樹皮粉砕繊維の鉄処理による生育障害要因の除去技術

タイトル スギ、ヒノキ樹皮粉砕繊維の鉄処理による生育障害要因の除去技術
担当機関 和歌山県農総セ農試
研究期間 2005~2007
研究担当者 森下年起
林恭弘
久田紀夫
発行年度 2006
要約 新鮮なスギ、ヒノキ樹皮粉砕繊維を培養土素材として用いる場合、硫酸第一鉄の0.2~0.5%溶液に 樹皮を浸漬すると植物に対する生育障害の影響が軽減される。樹皮の水溶性ポリフェノール含量は、 硫酸第一鉄溶液浸漬により低下する。
キーワード スギ、ヒノキ、樹皮粉砕繊維、硫酸第一鉄、生育障害要因
背景・ねらい 林産資源の豊富な本県において、スギ、ヒノキ樹皮は、産業廃棄物として多量に排出され、その 有効利用が課題となっている。木材市場や加工所では、樹皮の粉砕繊維化による利用拡大への取り組みが 始まっている。そこで、新鮮な樹皮粉砕繊維(以下樹皮)を培養土素材として用いる場合の植物生育障害要因の 除去方法について検討する。
成果の内容・特徴
  1. スギ、ヒノキの新鮮樹皮を用いてコマツナを栽培すると、新葉の葉脈間が黄化し鉄欠乏に類似した 症状を示すとともに著しい生育障害がみられる (表1、写真1)。
  2. スギ、ヒノキの新鮮樹皮を硫酸第一鉄の0.2~0.5%溶液3.3L/kgに浸漬すると、コマツナは正常に 生育し、ピートモスとほぼ同等の生育量が得られる。しかし、硫酸第一鉄1%溶液では、生育が劣り 枯死株がみられる(表1、 写真1)。
  3. 樹皮培養土のpHは、石灰資材による矯正を行わなくても栽培終了時において7程度である。 浸漬する硫酸第一鉄の濃度が高くなるに伴い、培養土pHが低下する (表1)。
  4. コマツナの生育は、スギ、ヒノキ(データ省略)樹皮、ピートモスともに液肥希釈倍数 500~1000倍施用が優れる(写真1)。
  5. 新鮮な樹皮の水溶性ポリフェノール含量は、スギ、ヒノキともに1200ppm(タンニン酸換算)前後で あるが、硫酸第一鉄溶液に浸漬すると1/2程度に低下する(図1)。
成果の活用面・留意点
  1. 新鮮なスギ、ヒノキ樹皮の窒素取り込み量(30℃、160日間培養)は、それぞれ、樹皮100g当たり 20mg、10mgと少なく、窒素施肥量はピートモスと同様で良い。
  2. スギ、ヒノキの樹皮粉砕繊維は、ピートモスに比べて繊維が荒く、大きな孔隙が多いことから 有効水量が少ないため、孔隙間を埋める他資材と混合する必要がある。
  3. 樹皮を鉄溶液に浸漬することにより、生育障害を引き起こすタンニンがタンニン鉄と変化し 不溶化するためと推定されるが、鉄処理による生育障害要因の除去メカニズムの詳細は不明である。
  4. 樹皮等の鉄処理については、柳田、富田の報告例(特開2000-23560、特開平11-89422)がある。
図表1 220361-1.jpg
図表2 220361-2.jpg
図表3 220361-3.jpg
カテゴリ 加工 こまつな 施肥

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