収穫前分析による玄米のカドミウム濃度の予測

タイトル 収穫前分析による玄米のカドミウム濃度の予測
担当機関 島根農技セ
研究期間 2003~2006
研究担当者 朝木隆行
荒木卓久
伊藤淳次
角 治夫
発行年度 2007
要約 出穂2週間後の穂のカドミウム濃度(X)を測定し、関係式Y=1.22×Xによって玄米のカドミウム濃度を予測する。これにより、収穫後に分析のための出庫保留することなく、汚染米の流通リスクを軽減できる。
キーワード カドミウム、玄米、収穫前予測
背景・ねらい 2006年のCodex委員会において、食品に含まれるカドミウムの国際基準値が設定された(コメは精米で0.4mg/kg)。これは食品衛生法の現行基準値(1mg/kg)より厳しく、国内基準値の改訂に向けた検討が進められている。玄米のカドミウム濃度は、気象条件や水管理による影響を受けやすいため、同一ほ場であっても年次変動が大きい。そのため、過去に汚染米が生産された水田はもとより、その他の水田においても基準値を超過する恐れがある場合は、収穫物の検査を行い安全を確保する必要がある。しかし、濃度分析には時間がかかり経済的負担が少なくない。そこで、出庫保留等の措置を必要としない収穫前の分析によって玄米のカドミウム濃度を予測する技術について検討する。
成果の内容・特徴
  1. 出穂2週間前以降の穂、葉及び茎のカドミウム濃度は、玄米中濃度との相関が高い。特に穂は調査時期に関わらず0.1%水準で有意な相関が認められ、これを基に収穫前に玄米のカドミウム濃度を推定することが可能と考えられる(表1)。
  2. 塩化カドミウムを添加し土壌中のカドミウム濃度を高めた水田で栽培した水稲では、出穂2週間後の穂のカドミウム濃度(X)と玄米のそれ(Y)との関係式はY=0.702×Xとなる。また、それぞれ土壌条件や品種等が異なる現地試験においても両者の相関は高く、関係式はY=1.22×Xで示される。両試験の式は傾きに差があり、これは試験条件や分析試料のカドミウム濃度レベルの違いが影響したものと考えられるが、0.2mg/kg以下のレベルではほぼ一致する(図1、2)。
  3. 生産物の安全性を確保するため、玄米中カドミウム濃度の危険領域の判定基準を0.2mg/kgとし、現地試験で得られたY=1.22×Xを用いて予測する。
成果の活用面・留意点
  1. 玄米のカドミウム濃度が高くなる恐れのある水田では、水管理等による吸収抑制対策を実施すると共に本成果に基づいて玄米中濃度の収穫前予測を実施する。
  2. 収穫前分析により玄米のカドミウム濃度が0.2mg/kgを超過すると算出された場合には、収穫後に再度分析を行う。
図表1 220371-1.jpg
カテゴリ 水田 水稲 品種 水管理

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