タイトル |
ヤギを利用した猿害軽減技術 |
担当機関 |
滋賀県農業技術振興センター |
研究期間 |
2005~2007 |
研究担当者 |
山中成元
高畑正人
石庭孫義
清水信美
藤井清孝
尾賀邦彦
松山高博
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発行年度 |
2007 |
要約 |
ヤギはサルに対して関心を示す行動が認められ、サルが出没する農地付近でヤギを放飼することにより、猿害軽減効果が期待できる。
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キーワード |
ヤギ、サル、猿害、放飼
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背景・ねらい |
本県の中山間地域ではサルによる農作物被害が多発しており、防護柵や捕獲を中心とした対策が講じられているが、多大な労力とコストを要している。 一方、森林と農地との境界で牛を放牧することにより、イノシシに対して牛は威嚇行動を示さないが、イノシシの行動を制限することが明らかにされている。しかし、サルに対しては、どのような家畜が防除効果を示すか不明である。 そこで、サルに対して防除的な行動を示す家畜を選定し、その家畜を利用した猿害防止技術を開発する。
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成果の内容・特徴 |
- ヤギはサルに対して「視る(凝視する)」「近づく」という行動を示し、サルがそれらの行動に対して警戒する。また、ダチョウは積極的な威嚇等はないが、サルの警戒行動は認められ、ヒツジ、ガチョウ、子ブタは逃避行動を示す(表1)。
- サル出没時にヤギが反応してサルに接近すると、サルがヤギを避ける行動が認められ接近距離が20m程度になるとサルの滞在時間が顕著に減少する(図1、2)。
- ヤギの放飼密度が2.8頭/100㎡では、ヤギは昼間活発に移動し、放飼場全域に散在する(図3)。
以上の結果より、ヤギの放飼は猿害軽減技術として利用できる。
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成果の活用面・留意点 |
- 本試験ではサルの加害レベルが比較的低く、出没初期で侵入軽減効果が認められたが、効果の持続性については今後検討を要する。
- 加害レベルの高いサルは追い払い等の防除手段と組み合わせると防除効果の向上が期待できる。
- ヤギの放飼場は、サルの侵入場所付近や移動経路に配置することが考えられるが、放飼場付近はヤギの見通しが効くようにするとさらに有効である。
- 放飼に適するヤギは、環境適応力が高く脱柵しにくい小型の在来雑種で、牧柵には溶接金網柵を用いると設置が容易で脱柵しない。ロープ等によるつなぎ飼いは、ヤギの行動範囲が狭くなるものの、牧柵の必要がなく簡便に放飼できる。
- ヤギの放飼による放飼場の裸地化防止やヤギの健康維持のためには、導入する場所の草量や放飼頭数および放飼期間に応じた飼養管理をする必要がある。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
病害虫
ガチョウ
コスト
飼育技術
ダチョウ
中山間地域
羊
豚
防護柵
防除
山羊
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