小麦「ニシノカオリ」における緩効性肥料を利用した省力施肥

タイトル 小麦「ニシノカオリ」における緩効性肥料を利用した省力施肥
担当機関 山口農総セ
研究期間 2003~2005
研究担当者 中司祐典
木村晃司
有吉真知子
発行年度 2007
要約 パン用小麦品種「ニシノカオリ」において、「25~30日タイプ」の被覆尿素50%配合の複合肥料を慣行施肥体系(開花期追肥施用)と窒素同量、基肥施用することにより、収量、子実タンパク質含有率は慣行と同程度となり、追肥が省略できる。
キーワード コムギ、ニシノカオリ、緩効性肥料、収量、子実タンパク質、省力
背景・ねらい 山口県では小麦奨励品種「ニシノカオリ」の栽培において、子実タンパク質含有率向上のために、窒素成分2kg/10a程度の開花期追肥を施用するよう指導している。しかし、従来の栽培法と比べて労力やコストがかかり、大規模経営の担い手では春作業が集中することなどから、施肥の省力化が強く求められている。
そこで、被覆尿素入り複合肥料(以下「緩効性肥料」)の全量基肥施用が「ニシノカオリ」の生育・収量、外観品質、子実タンパク質含有率等に及ぼす影響を明らかにし、省力的に収量・品質が高位安定化する施肥法を確立する。
成果の内容・特徴
  1. 「25~30日タイプ」の被覆尿素は、いずれも成熟期には概ね80%以上が溶出するが、リニア型では溶出が早いなど種類によって溶出パターンが異なる(データ省略)。このため、これらの被覆尿素を50%程度配合した緩効性肥料の期間別窒素溶出パターンは、種類により若干異なる(図1)。
  2. 緩効性肥料を全量基肥で慣行施肥体系(開花期追肥施用)と窒素同量施用することにより、慣行施肥体系と概ね同程度の収量が得られる(図2、表1)。
  3. 子実タンパク質含有率は、開花期追肥を施用しない速効性分施体系と比べて明らかに高まり、開花期追肥を0.2kg/a施用する場合と同等またはそれ以上が得られる(図3)。
  4. 肥料の種類別では、3月上旬~4月上中旬に窒素溶出量が多いタイプで収量が多く、4月上中旬~5月中下旬に窒素溶出量が多いタイプでは子実タンパク質含有率が高まる傾向がある(図1、2、3)。
  5. 成熟期は概ね慣行施肥体系並みであるが、年次によっては1~2日遅れる。倒伏程度や外観品質は慣行施肥体系と同程度である(データ省略)。
成果の活用面・留意点
  1. センター内試験は礫質灰色低地土・砂壌土のほ場における水稲跡・全面全層施肥・耕起ドリル播での結果であり、栽培条件等による適正な施肥量については、さらに検討が必要である。
  2. 穂数等生育量が確保しにくく収量水準が低い地域、ほ場では3~4月に窒素溶出の多い肥料を、品質評価基準の「たんぱく」基準値達成が困難な地域・ほ場では4月以降に窒素溶出の多い肥料をそれぞれ選択する。
  3. 施肥量が多いので、施肥機を使用する場合は窒素含有率の高い肥料を用いる必要がある。
図表1 220381-1.gif
図表2 220381-2.gif
図表3 220381-3.gif
図表4 220381-4.gif
カテゴリ 肥料 コスト 小麦 栽培条件 省力化 水稲 施肥 大規模経営 春作 評価基準 品種

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