タイトル |
カンキツ経営への温州ミカン連年安定生産システムの導入効果 |
担当機関 |
和歌山農総技セ |
研究期間 |
2005~2007 |
研究担当者 |
熊本昌平
宇治泰博
齋藤仁蔵(近中四農研)
島 義史(近中四農研)
島﨑昌彦(近中四農研)
星 典宏(近中四農研)
山本和博(愛媛農試)
河野 章(愛媛農試)
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発行年度 |
2007 |
要約 |
営農試験地の経営モデルでは、経営耕地面積の23~33%まで連年安定生産システムを導入でき、所得が15~24%増加する。導入費用を3年以内に回収するには高品質果実をレギュラー品より50円/kg以上高く販売することおよび高い出荷割合の維持が必要である。
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キーワード |
温州ミカン、連年安定生産システム、線形計画法、経営モデル、マルドリ方式
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背景・ねらい |
高品質果実の連年安定生産システム(マルドリ方式、後期重点摘果および枝梢部管理技術)を3地域の営農試験地の経営モデル(表1)に導入した時の導入効果を線形計画法により明らかにする。また、システムの導入に要する約48.8万円/10aの費用の回収を実現するのに必要な高品質果実の出荷割合と販売価格の水準を明らかにする。
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成果の内容・特徴 |
- 大規模専業モデルは92.9 a(経営耕地面積の23%)のシステム導入により所得が1,674万円となり、導入前より222万円(15%)増加する。中規模急峻傾斜地モデルは60.5 a(同30%)の導入により所得が915万円となり、導入前より163万円(22%)増加する。小規模複合モデルは32.9 a(同33%)の導入により所得は482万円となり、導入前より93万円(24%)増加する(表2、表3)。
- 早生温州10 aにシステムを導入した場合、導入以前の所得を維持しつつ、導入費用を3年以内に回収することを目標としたときの高品質果実の出荷割合と販売価格(レギュラー品との価格差)の水準を図1に示す。なお、ここでいう「高品質果実」とは、生産者が各々出荷・販売を考えている差別化商品の品質基準を満たす果実のことである。この水準は、高品質果実の差別化販売で得られる粗収益の式、(目標粗収益)=(高品質果実価格)×(出荷量)×(高品質果実割合)+(レギュラー価格)×(出荷量)×{1-(高品質果実割合)}を変形した式1から、導入費用の回収年数に応じて設定した目標粗収益ごとにグラフに示したものである。図1の経営モデルの水準(高品質果実割合61%、価格294円/kg(レギュラー品との価格差140円/kg))では導入費用を2年で回収できる。また、3年以内に導入費用を回収するには、レギュラー品より最低50円/kg以上高く販売できるチャネルの確保が必要である。高品質果実の出荷割合が50%の場合では、価格はレギュラー品より96円/kg以上高く販売する必要があり、80%では60円/kg以上必要となることから、高品質果実の割合をできるだけ高く維持する必要がある。
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成果の活用面・留意点 |
- システムの導入効果を発現しうるためには、適切な園地の選定と品質に応じた高価格で販売できるチャネルの確保が必要である。
- 連年安定生産システムは導入する品種を問わないが、試算のモデルとなった農家が早生温州のみの導入であったことから、経営モデルでは早生温州への導入に限定した。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
温州みかん
管理技術
経営管理
経営モデル
傾斜地
出荷調整
品種
その他のかんきつ
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