参入実績別にみた農業への企業参入に関する市町村担当者の意識特性

タイトル 参入実績別にみた農業への企業参入に関する市町村担当者の意識特性
担当機関 島根農技セ
研究期間 2007~2012
研究担当者 山本善久
竹山孝治
吉木律雄
長野正己
永岡佳訓(農業経営課)
発行年度 2007
要約 参入実績のない市町村担当者は、地域農業構造の負の部分(耕作放棄地など)解消への期待や地域農業との関係に不安を抱き、一方、参入実績のある市町村担当者は、地域農業の中核的役割へ期待し参入初期の経済性及び農地確保に不安を抱いている。
背景・ねらい 地域農業の新たな担い手として農外企業からの新規参入に対する期待や関心がみられる。しかし、参入企業が地域農業の担い手として確立されるためには、企業努力とともに参入区域の設定や地域農業施策との連携など、行政支援の必要性も指摘できる。そこで、各市町村担当者が農業への企業参入をどのように捉え、地域農業のなかでどのように位置づけ評価しているのか、その意識構造の把握と意識特性の視点から推進方向へ導くための要素を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 評価項目及び評価方法を表1に示した。調査は島根県の全市町村(21市町村)担当者各1名を対象とした。調査期間は2006年9月~11月である(以下、評価項目名は短縮して記載しているので詳細は表1参照のこと)。
  2. 企業の農業参入に期待する効果を参入実績の有無別に整理すると次のとおりである。実績あり(A)は、「高収益アグリビジネスへの発展」「加工・直売等の多様な経営展開」「施設園芸の担い手」など企業的経営の推進や地域農業の中核的役割へ期待し、実 績なし(B)は、「畜産・和牛・飼料作物の担い手」「畑地・樹園地の耕作放棄地防止」 など地域農業構造の負の部分解消効果へ期待している(表2)。
  3. 同じく企業の農業参入に関する不安・懸念事項では、実績あり(A)が、「優良農地の確保が困難」「まとまった農地の確保が困難」「黒字転換まで数年かかる」など生産の基盤となる農地確保及び参入初期の経済性に不安を抱いている。一方、実績なし(B) は、「既存農家やJA事業との競合・乖離」「目標が高すぎる」「自然災害・価格暴落のリスク」など地域農業との関係及び農業の現状認識の甘さに不安を抱いている(表2)。
  4. 各市町村担当者の意識(評価)の差異は、「加工・直売等の多様な経営展開」「高収益アグリビジネスへの発展」「施設園芸の担い手」「まとまった農地の確保が困難」「優 良農地の確保が困難」「黒字転換まで数年かかる」の6項目で両者間に差がみられ(t 検定5%水準で有意差あり)、いずれも実績あり(A)の市町村担当者の評価点が高い。 また、統計的な有意差は確認できないまでも、「既存農家やJA事業との競合・乖離」をはじめとした地域農業との関係への不安感という点で、実績なし(B)の市町村担当者が強く不安を抱く傾向にある(表2)。
成果の活用面・留意点
  1. 企業参入支援を検討するに当たって、各地域の実情(参入実績の有無)に即しどのような支援が必要なのかを判断するための参考資料として活用できる。
  2. 用いたデータは、被験者から5段階評価を求めた順序データである。本分析では、1~5段階の各評価の間隔が等間隔であるとみなし、得られた各評価を評価点とした。
  3. 参入概況及び参入実態については、山本善久(2006)農業経営通信229:2-5、山本善久(2007)島根県農業技術センター研究報告37:41-50、山本善久(2007)近畿中国四国農研農業経営研究17:35-44を参照されたい。
図表1 220387-1.gif
カテゴリ 加工 経営管理 施設園芸 飼料作物

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