タイトル |
早植えトンネル被覆栽培及び「深植え」によるエビイモの増収技術 |
担当機関 |
京都農総研 |
研究期間 |
2004~2006 |
研究担当者 |
浅井信一
稲葉幸司
寺岸明彦
礒野浩太
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発行年度 |
2007 |
要約 |
エビイモ栽培において、4月下旬の早植えトンネル被覆栽培することで増収し、植え付け位置を「慣行植え」より15cm深い「深植え」とすることでも増収する。また、「深植え」では土入れ作業が容易で的確に行えるため、秀品率が向上する。
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キーワード |
エビイモ、サトイモ、早植え、トンネル、被覆資材、深植え
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背景・ねらい |
エビイモは、入念な土入れ等独特の栽培方法で作られる美味なサトイモであるが、晩生で生育が遅いため収量が少ない。そこで、初期生育を促進させることにより増収を図るため、4月下旬植えの早植えトンネル被覆栽培及び「深植え」を行い、その効果を検討する。
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成果の内容・特徴 |
- 4月下旬に早植えしてトンネル被覆栽培を行うと、晩霜害や風の影響を防ぐことができ親株の生育が早く、子株の生育も早くなるため、慣行植え無被覆栽培(5月上・中旬植え)よりも大幅に増収する(表1)。
- 早植えトンネル被覆栽培に用いる被覆資材には、毎日の換気作業が不要な資材を用いる。有孔透明フィルムは価格が安いが、孔開け作業が必要で繰り返し利用は出来ない。不織布は価格が高いものの、資材を繰り返し利用でき、夜間の保温効果が高い。なお、薄手の不織布では増収効果がやや低くなる(表2)。
- 早植えトンネル被覆栽培は、慣行無被覆栽培と比較して経営費及び労働時間が増加するが、販売代金の増加分が大きいので所得は10a当たり215千円増加し、1時間当たり所得は180円増加する(被覆資材にパオパオを用い耐用年数3年とした場合の試算。データ省略)。
- 「深植え」は、うねの肩から20cmの深さに植える「慣行植え」に対し、より深く35cmの位置に植え付ける(図1)ことにより、地上部の生育が早くなり増収する。その要因は、植え付け後の風の影響が軽減され土壌水分が高く維持されるためと考えられる。さらに、土入れ作業が容易で的確に行われるため、エビの形をした秀品率が向上する(表3)。
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成果の活用面・留意点 |
- 早植えトンネル被覆栽培では、土寄せ・土入れ、摘葉、追肥のタイミングが慣行栽培より早くなるので、適期を逃さないように行う。
- 早植えトンネル被覆栽培では、被覆資材の種類により価格・特徴が異なるので、生産者の実状に応じて資材を選択する。
- 「深植え」では、植付け位置が深いため全層施肥した基肥が株元に十分届かない場合があるので、基肥に窒素として20kg/10a全層施用し、さらに植付け時に窒素として5kg/10a分の肥料を株元に施用する。以後の追肥は「慣行植え」と同様に行う。
- 「深植え」の植え付け深さは、ほ場条件によっては35cmにこだわらず可能な深さとし、排水が不良なほ場では「深植え」を行わない。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
肥料
経営管理
さといも
施肥
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