簡易液肥混入器を用いた養液土耕によるナスのトンネル早熟栽培

タイトル 簡易液肥混入器を用いた養液土耕によるナスのトンネル早熟栽培
担当機関 京都農総研
研究期間 2005~2007
研究担当者 田中淳夫
発行年度 2007
要約 ナスのトンネル早熟栽培における簡易液肥混入器を用いた養液土耕栽培技術は、かん水チューブで希釈液肥を給液する安価な方法であり、慣行の土耕に比べ少ない施肥量で、総収量が2割増収し、秀品率も向上する。また、1回当たりの給液量を4L/株以下とすることでうね間が乾き、作業性が向上する。
キーワード 養液土耕、トンネル早熟栽培、ナス、施肥量低減、作業性向上
背景・ねらい ナスのトンネル早熟栽培は、多肥栽培であり、環境に対する負荷も大きく、残留した肥料成分が後作にも影響する。うね間を湛水するため作業性が悪く生産者への負担も大きい。そこで、安価に導入できる養液土耕システムを確立し、増収及び減肥と作業性の改善を目指す。
成果の内容・特徴
  1. ナスのトンネル早熟栽培に用いる養液土耕の給液装置は、流水の負圧で液肥を混入する簡易液肥混入器(FTP-3型、400倍希釈)とかん水チューブからなり、導入に掛かる経費は60,600円/10aで安価に設営できる(表1)。
  2. 施肥は、基肥に苦土石灰、BMようりんと定植時に化成肥料を(窒素成分で1.0kg/10a)を植穴に施用して、活着後は希釈した液肥をかん水チューブで追肥する。施肥量は給液量で管理し、新たに経営に導入する生産者でも操作が簡易にできる(表2)。
  3. この養液土耕では施肥量の低減が可能で、窒素施用量を56kg/10a(慣行土耕の80%)とした場合でも、生育が旺盛で、葉色、葉柄中の硝酸態窒素量も安定しており(図1)、慣行の土耕に比べ総収量で2割増収し、秀品収量も4割増収する(表3)。
  4. 栽培終了時における土壌中の硝酸態窒素量は、窒素施肥量を56kg/10aとした場合、慣行の土耕の半分以下に低減する(表2)。
  5. 1回当たりの給液量を4L/株以下であれば、うね間がぬかるまず乾燥し、収穫とせん定、摘葉等の作業性向上を図ることができる。この養液土耕では、必要な給液量が週3回の施用で2.6~3.3L/株であり、作業環境が改善できる。
成果の活用面・留意点
  1. 本成果は露地ナスのトンネル早熟栽培に活用できる。
  2. 簡易液肥混入器には電力を必要としないが、流水の負圧により液肥の希釈混入を行うため、一定の流量(50~150L/分)が必要である。
  3. 給液むらを少なくするために、かん水チューブの末端を塩ビパイプで連結して、チューブに掛かる水圧を一定にし、給水孔からの給液量を均等にする。
  4. 埴壌土の土壌では基肥としての施用量は、苦土石灰を100kg/10a、BMようりんを20kg/10aを基準とする。
  5. 2006~2007年度に行った現地試験では、本成果と同様の増収効果が得られている。
図表1 220389-1.jpg
図表2 220389-2.jpg
図表3 220389-3.jpg
図表4 220389-4.jpg
カテゴリ 肥料 乾燥 経営管理 栽培技術 施肥 なす

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