トマトロックウール栽培における銀担持光触媒を用いた培養液殺菌

タイトル トマトロックウール栽培における銀担持光触媒を用いた培養液殺菌
担当機関 徳島農総セ
研究期間 2004~2006
研究担当者 河野充憲
黒田康文
杉本和之
板東一宏
発行年度 2007
要約 本技術は、銀担持不織布を殺菌フィルターとし、蛍光灯を照射することによる銀担持光触媒を利用した培養液殺菌であり、主要なトマト地下部病原菌の効率的な殺菌が可能である。また、トマトの循環式ロックウール栽培に簡易に組み込むことができ、生育、収量、培養液成分に影響なく実用性が高い。
キーワード トマト、ロックウール栽培、培養液殺菌、光触媒
背景・ねらい 近年、環境に配慮した養液栽培として、培養液を廃棄しない循環式養液栽培への移行が求められているが、一方で、循環式養液栽培では培養液を介して病害が伝搬する危険性が高くその対策が急務である。そこで、銀担持光触媒を利用した新しい培養液殺菌技術を開発する。
成果の内容・特徴
  1. 本殺菌装置は、銀担持不織布を殺菌フィルターとした殺菌ユニットに、20wの緑色蛍光灯を内面に取り付けたステンレスカバーで覆った構造である(図1)。この殺菌装置では、培養液が殺菌ユニット内の殺菌フィルターの内側から外側に向かって通過する際に、銀に光が照射されることによる光触媒殺菌で、培養液中の病原菌が殺菌されてユニット外に排出される。
  2. 本殺菌装置では、培養液量20Lに対し、毎分6.7Lの循環殺菌で根腐病菌(Pythium aphanidermatum)を4分後、青枯病菌(Ralstonia solanacearum)は8分後にほとんど殺菌でき、根腐萎凋病菌(Fusarium oxysporum)は、32分後に発芽率10%以下まで殺菌できる(表1)。また、循環殺菌の流速を、毎分10~20Lに速めると殺菌効率は高まり、最も殺菌時間がかかる根腐萎凋病菌を16分でほとんど殺菌できる(データ省略)。
  3. 本殺菌装置を組み込んだロックウール栽培培養液循環システムは、日中栽培ベッドに給液される度に生じる余剰培養液を殺菌処理タンクに集水し、栽培ベッドへの給液が停止している夜間に、前述した殺菌装置と殺菌処理タンク間で循環させ殺菌処理し、翌日に培養液タンクへ原水とともに補給する。また、殺菌処理タンクには、フロートスイッチを設け、余剰液がフロートスイッチに達した時点で給液は停止するため、作物の吸水が少ない曇雨天日の給液制御が自動で行われるとともに、常に一定の余剰液量となる (図2)。
  4. 本システムでの生育、品質、収量は、慣行の循環式養液栽培とほぼ同等である(図3)。また、培養液殺菌による培養液中の肥料成分の不溶化や銀の溶出はなく培養液に及ぼす影響は認められず、トマト果実中の銀の蓄積もない(データ省略)。
成果の活用面・留意点
  1. 本システムを、15aのトマト養液栽培現地に組み込み、安定的に作動することと生育、品質、収量及び培養液に及ぼす影響がないことを検証している。
  2. 銀担持不織布は、汚れると殺菌能力が落ちるので、循環殺菌ラインには汚れを取るディスクフィルター等を設置するとともに、3~4ヶ月ごとに銀担持不織布の汚れを確認し、汚れている場合は交換が必要であり、そのコストは約5千円である。
  3. 培養液組成は、循環式ではバランスが崩れるので、作物の吸収組成に合致した培養液処方を用いる。
  4. 殺菌装置を含む余剰液再利用システムは、注文生産が可能であり、20a規模で約75万円である。
図表1 220394-1.jpg
図表2 220394-2.jpg
図表3 220394-3.jpg
図表4 220394-4.jpg
カテゴリ 肥料 青枯れ病 コスト トマト 根腐病 養液栽培

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