タイトル |
早生で大果のイチゴ新品種「あまおとめ」の育成 |
担当機関 |
愛媛農試 |
研究期間 |
1996~2005 |
研究担当者 |
伊藤博章
松澤 光
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発行年度 |
2007 |
要約 |
「とちおとめ」と「さがほのか」を交配した実生個体から育成した促成栽培向け新品種「あまおとめ」は、大果で食味の良い早生多収品種である。果皮は鮮紅色、果形は整った円錐形で、草勢は強いが、炭疽病には罹病性である。
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キーワード |
イチゴ、品種育成、促成栽培、早生、大果、良食味
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背景・ねらい |
2006年産イチゴの愛媛県内栽培面積は約97ha、生産額は24億円であり、野菜類の中で粗生産額の多い基幹品目の一つである。県内の栽培面積が少ない上に、「紅ほっぺ」、「さがほのか」、「さちのか」など6品種が混在しているため、品種毎の販売ロットが少ない。さらに「さちのか」等収穫開始の遅い品種では年内出荷量が少なく、販売面での苦戦が続いている。 そこで、促成栽培用の早生大果で食味に優れた本県オリジナル品種を開発し、品種の集約を進める。
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成果の内容・特徴 |
- 「あまおとめ」は「とちおとめ」に「さがほのか」を交雑した実生個体から育成した、大果で食味の良い促成栽培向け品種である。
- 草姿は立性で草勢は強く、収穫開始期の草丈は「紅ほっぺ」並に大きい(図1)。頂果房の果房長は「とちおとめ」、「紅ほっぺ」より長い。ランナーの発生は「さがほのか」や「紅ほっぺ」よりやや少ない(表1)。頂果房の花数は18花と「紅ほっぺ」並に多い(表2)。
- 頂果房の花芽分化期は9月16~20日頃で、「さがほのか」並かやや遅い。第1次腋果房の収穫開始は2月上~中旬である。年内収量は「さがほのか」や「紅ほっぺ」より多く、4月末までの収量は「紅ほっぺ」より少ないが「とちおとめ」、「さがほのか」より多い(表2)。
- 果形は円錐形、果皮は鮮紅色で厳寒期の天候不順時には着色が劣り、収穫遅れによる過熟果の発生がみられる(図2、表1)。平均一果重は「紅ほっぺ」並に大きい。糖度は「さちのか」より高く、果皮の強さは「さちのか」より劣る(表2)。
- 炭疽病には「紅ほっぺ」並に弱く、うどんこ病の発生は「さがほのか」や「紅ほっぺ」より少ない。
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成果の活用面・留意点 |
- 頂果房の花芽分化が早く、促成作型に適する。また、高温期の果実肥大や果実品質が良いことから、夜冷・株冷での早出しにも適応性が高い。
- 厳寒期は、玉出し等を行ない果実着色の向上を図る。
- 採苗期にはランナー先枯れ症が、本圃ではチップバーンが発生しやすいので留意する。炭疽病には弱いので、十分な防除対策を行なう。
- 2007年産の普及面積は3.5ha。普及地域について、品種登録後3カ年は愛媛県内のみとする。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
病害虫
いちご
うどんこ病
出荷調整
新品種
炭疽病
品種
防除
良食味
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