タイトル |
いもの形状が丸いツクネイモ新品種「やまじ王」の育成 |
担当機関 |
愛媛農試 |
研究期間 |
1996~2005 |
研究担当者 |
玉置 学
淺海英記
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発行年度 |
2007 |
要約 |
愛媛県内で栽培されている「在来種」から、種いも分割による栄養系分離と系統選抜法により育成した「やまじ王」は、「在来種」と比較して萌芽が早く、いもの形状が丸いツクネイモの新品種である。
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背景・ねらい |
愛媛県は全国有数のツクネイモ産地である。ツクネイモは和菓子等の原料として高単価で取引されるが、主に実需者が加工しやすいいもの形状(丸さ)で階級分けされ、階級間の価格差が大きい。そこで、生産者や実需者からの要望の強い形状が丸いツクネイモの新品種を育成する。
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成果の内容・特徴 |
- ツクネイモは安定的に開花せず、花もほとんどが雌花で、交雑による品種育成(育種)が困難であるため、種いも分割による栄養系分離と系統選抜を利用して品種育成を行う。
- 「やまじ王」は、愛媛県内で栽培されている「在来種」の優良な種いもを分割して、個体の育成と選抜により育成した、いもの形状が丸い新品種である。
- 地上部は、「在来種」と比べ、草勢がやや強く、萌芽が早い。その他の草姿は「在来種」と同様で、つるの色は赤紫、葉の形は心臓形で葉色は淡緑色である。むかごの着生は少なく、花はほとんどが雌花である(図1)。
- いも部は、「在来種」と比べ、秀・優品率が88%で「在来種」より32ポイント高く、形状が特に丸い。その他の特性は「在来種」と同様で、大きさは約490g、肉色は淡黄色で粘度はやや高く、貯蔵性も高い(図2、図3、表1)。
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成果の活用面・留意点 |
- 「やまじ王」の肥培管理法は「在来種」に準じる。
- 「やまじ王」は10aあたりの秀・優品収量が「在来種」に比べ約1.7倍と多いため、秀・優品率の低い地域での栽培に特に適している。
- 「やまじ王」の増殖は、愛媛県農業試験場が開発した「小分割による小芋種芋生産法」(2001年開発)により効率的に行える。
- 普及地域について、品種登録後3カ年は愛媛県内のみとする。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
育種
加工
新品種
肥培管理
品種
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