閉鎖型育苗施設利用によるシクラメンの育苗管理技術の向上

タイトル 閉鎖型育苗施設利用によるシクラメンの育苗管理技術の向上
担当機関 兵庫農総セ
研究期間 2006~2007
研究担当者 石川順也
小山佳彦
発行年度 2007
要約 閉鎖型育苗施設を用いてシクラメン種子を播種するとガラス温室の育苗施設に比べて80%発芽率は7日早くなる。また、セル育苗終了時の葉数、生体重は増大し、定植後のシクラメンの開花始めはガラス温室の育苗施設で生育したシクラメンに比べて21日早くなる。
キーワード 閉鎖型育苗施設、シクラメン、発芽率、セル育苗
背景・ねらい 秋季に開花する花壇苗として、耐寒性の高い品種を用いた植え込み用のミニシクラメン栽培の生産が伸びている。暖地におけるシクラメンのセル育苗は冬季であっても温室内環境が高温になることがあるため、発芽の安定しない事が多い。そこで温度や炭酸ガス濃度が制御できる閉鎖型育苗施設(苗テラス:T社製)において良質なシクラメンのセル苗を得る環境条件を設定する。
成果の内容・特徴
  1. ガラス温室での温度差は大きく、その差は最大で20.9℃もあり、昼間の気温が瞬間的に38℃を越す場合も認められる。閉鎖型育苗施設ガラス温室に比べて最高と最低の温度差が小さく、20.±1.8℃の範囲にあり、日中の高温を回避できる(図1)。
  2. 播種後発芽率が80%に達するのは20℃-350ppm区が最も早く、ガラス温室での育苗に比べて、7日早くなる。25℃-350ppm区では著しく抑制される(図2、3)。
  3. セル苗の生育では20℃-350ppm区がガラス温室区と比べて、葉数、塊茎幅、生体重とも増大し、25℃-350ppm区では顕著に抑制される。20℃-1,000ppmでのセル苗の生育の増大は認められず、炭酸ガス施用効果は認められない(図3、表)。
  4. 鉢上げ後の生育では20℃-350ppm区がガラス温室区と比べて、開花始めが20日早くなる。
成果の活用面・留意点
  1. 閉鎖型育苗施設における潅水は1隔日とし、15分間/日のエブアンドフローにより実施する。光源は昼光色蛍光灯で光強度は400μmol/㎡/Sとし、明期18時間、暗期6時間とする。
  2. セルのサイズは288穴トレイを用い、施肥はドリップファーム4号(15-9-18)10,000倍液を発芽揃い1ヵ月後よりエブアンドフローにより1隔日で施用するが、セルサイズ、用土量が大きくなる場合は、潅水間隔や施肥量を減らすなど調節が必要である。
図表1 220416-1.jpg
図表2 220416-2.jpg
図表3 220416-3.jpg
図表4 220416-4.jpg
カテゴリ 育苗 管理技術 栽培技術 シクラメン 施肥 耐寒性 播種 品種

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