タイトル |
コンテナと不織布シートを組み合わせたウンシュウミカンの省力貯蔵法 |
担当機関 |
山口農総セ |
研究期間 |
2004~2006 |
研究担当者 |
安宅秀樹
柴田好文
森 聡
津村哲宏
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発行年度 |
2007 |
要約 |
ウンシュウミカンにおけるコンテナと不織布シートを組み合わせた貯蔵方法は、棚貯蔵と同等の貯蔵が可能であり、入庫から家庭選果までの作業時間を大幅に短縮できる。
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キーワード |
ウンシュウミカン、省力化、コンテナ貯蔵、不織布シート
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背景・ねらい |
ウンシュウミカンにおける棚貯蔵という従来の貯蔵方法では、棚への果実の搬入出作業は作業負担が大きく、かつ作業が長時間に及ぶ。高齢化が進む中で、貯蔵の軽作業化が必要となっており、一方では規模拡大を目指す生産者には省力的な方法が求められている。そのため、収穫した果実をコンテナから平棚に移さず、そのままコンテナに貯蔵し、さらに品質保持のために不織布シートを被覆する省力貯蔵方法を検討する。
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成果の内容・特徴 |
- コンテナ貯蔵は、フォークリフト運搬できるようにパレット(180×104cm)上に容量31.3リットル(486×329×202mm)のコンテナで、縦5個、横2個、高さ6個(182×104×119cm)計60個を重ねて、果実品質保持のために不織布シート(大倉工業社製の「OH!甘ラップ」190×110×150cm)を被覆する(図1)。
- コンテナ貯蔵に不織布シートを組み合わせると、「青島温州」は、倉庫などでも、貯蔵から50日程度(出荷時期が概ね2月中旬まで)の目標貯蔵期間において、果実の予措戻りや浮皮の増加は認められず、棚貯蔵と同等の貯蔵ができる(表1)。
- コンテナに不織布シートを被覆することで、シート無被覆部位に比べて、コンテナ内における温湿度の高低差は小さくなる。温度はコンテナの最上段で高く、高低差は大きく推移し、湿度はコンテナの最上下段で変化が大きい(図2)。
- コンテナ貯蔵の入庫時間は、棚貯蔵に比べて約80%と大幅に短縮できる。さらに、出庫から家庭選果までは50%以下に短縮され、収穫から家庭選果までの作業時間の合計は30%程度短縮可能となる(図3)。
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成果の活用面・留意点 |
- 通常収穫に使用する容量47.2リットル(581×330×300mm)規格の深型コンテナは、果実を充満した重量は20kg以上となり、収穫や運搬時に負担が大きい。そのため、省力貯蔵用のコンテナは、深型の7分容量相当31.3リットルのコンテナ使用が望ましい。
- コンテナ貯蔵は、棚貯蔵と比較して腐敗果が取り除きにくいため、収穫から貯蔵までの丁寧な果実の取扱と腐敗防止剤散布を徹底し、腐敗果の発生を防ぐ。なお、約2週間ごとに腐敗果を点検し、最上段は乾燥しやすいために、下部のコンテナと入れ替える。
- 不織布シートの片面はファスナーで開閉可能であり、コンテナ内が加湿状態のときは、シート片面の開閉により湿度を調節する。
- コンテナと不織布シートを組み合わせた貯蔵方法は、ウンシュウミカン以外にも「不知火」や「清見」、「宮内伊予柑」などの中晩柑にも有効である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
伊予柑
温州みかん
乾燥
規模拡大
出荷調整
省力化
品質保持
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