環状はく皮を利用したナシ「幸水」の側枝更新のための新梢発生方法

タイトル 環状はく皮を利用したナシ「幸水」の側枝更新のための新梢発生方法
担当機関 島根農技セ
研究期間 2005~2009
研究担当者 持田圭介
門脇 稔
発行年度 2007
要約 ナシ「幸水」の側枝基部に3月下旬から4月上旬頃、環状はく皮を行うと、予備枝候補となる基部径8㎜以上の新梢を高頻度で発生させることができる。処理時期が遅くなると新梢発生率は低くなるが、BA(ベンジルアミノプリン)液剤50倍の併用により、新梢発生率を高めることが可能である。
キーワード ニホンナシ、幸水、側枝更新、環状はく皮、BA、新梢発生
背景・ねらい ニホンナシ「幸水」は側枝が古くなると短果枝が維持されにくいため、花芽の確保が困難な品種であり、安定生産のためには、側枝の効率的な更新が必要である。通常は、更新する側枝を切り落とした後に切り口から発生する新梢を予備枝として用いるため、側枝(長果枝)の育成には2年を要する。そこで、側枝基部に環状はく皮処理等を行うことにより、更新予定の側枝に結実させながら、効率的に予備枝となる新梢を発生させる方法について検討する。
成果の内容・特徴
  1. 側枝基部からの予備枝候補となる新梢の発生率は、冬季せん定による側枝のせん除で20%、側枝基部への芽傷処理や無処理ではその発生がほとんどみられないが、側枝基部に5㎜幅で環状はく皮処理(以下はく皮)を行うと、60%の側枝から新梢が発生する(表1)。
  2. はく皮処理のみでは、3月20日~4月20日処理で新梢発生率が高い(図1)が、4月20日処理以降では、発生した新梢の充実が劣る(図2)。
  3. BA液剤50倍散布処理を併用することにより、5月7日処理で、新梢発生率が高まり(図1)、4月20日処理でも充実した新梢が得られる(図2)。
  4. 3月20日から4月5日処理では、はく皮処理のみでも基部径8㎜以上の新梢の発生率が高く、BA液剤50倍散布処理を併用すると、4月20日処理でも、充実した新梢が得られる(図1、図2)。
成果の活用面・留意点
  1. 新梢は側枝基部のしわ部から発生するため、はく皮処理の位置は側枝基部から1㎝程度離して行い、ビニルテープを巻いて癒合を促す(図3)。
  2. 3月下旬から4月上旬は、はく皮処理の作業性が劣るため、簡便なはく皮処理方法について検討する必要がある。
  3. はく皮処理を行った側枝および育成した側枝の果実品質について、検討する必要がある。
  4. ニホンナシにおいて、BA液剤の植調剤登録が必要である。
図表1 220427-1.jpg
図表2 220427-2.jpg
図表3 220427-3.jpg
図表4 220427-4.jpg
カテゴリ 品種

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