7~9月の土壌水分環境がカンキツ「はるみ」の樹体生育、着花に及ぼす影響

タイトル 7~9月の土壌水分環境がカンキツ「はるみ」の樹体生育、着花に及ぼす影響
担当機関 広島総研
研究期間 2002~2006
研究担当者 池田裕朗
伊藤純樹
金谷新作
松本謙一郎
赤阪信二
発行年度 2007
要約 カンキツ「はるみ」は、8月に土壌が乾燥すると、当年の果実品質には影響ないが、根量が減少する傾向にあり、同時期に発生する結果母枝の伸長および翌春の着花数が減少するためこの時期は土壌を湿潤に保つことが重要である。
キーワード カンキツ、はるみ、8月、乾燥、着花数、結果母枝、根
背景・ねらい カンキツ晩生種の「はるみ」は、隔年結果性が強く、果実生産が安定していない。その原因として、着果過多による花芽の形成不良や根の伸長期における乾燥ストレスなどが考えられる。そこで、毎年安定した収量が得られると考えられる主枝別交互結実法を用い、7~9月における土壌の乾燥が根量、結果母枝の伸長および翌年の着花数に及ぼす影響を明らかにし、安定生産に役立てる。
成果の内容・特徴
  1. 8月乾燥区における処理翌年の結果母枝長は、前年の着果の有無にかかわらず、湿潤区の半分程度の長さに抑制される(表1)。
  2. 湿潤区における翌年の1結果母枝当たりの着花数は、処理年の未結果主枝および結果主枝で、それぞれ2.3花、0.8花となる。しかし、8月乾燥区では、それぞれ0.2花、0.1花であり、湿潤区に比べて著しく減少する。特に、乾燥処理年に未着果主枝(翌年の着果主枝)であったものは、着花数の減少が顕著である(表1)。
  3. 地上部の乾物重は、湿潤区と8月乾燥区で差はなく、根の乾物重は8月乾燥区で最も少ない傾向を示す。そのため、T-R比は湿潤区の3.6に比べ、8月乾燥区では4.8と最も高い。細根率は、湿潤区に比べて、いずれの乾燥処理区でも差はない(表2)。
  4. クエン酸含量は、2ヶ年とも湿潤区に比べ7月乾燥区で低かったが、果実横径、果実重および糖度は湿潤区と乾燥処理区との間に差はない(表3)。
  5. 収量は、湿潤区の2.4kg/樹に比べ、8月乾燥区では0.9kg/樹と最も少ない(表3)
  6. 以上の結果から、8月の土壌の乾燥は、カンキツ「はるみ」の根量、結果母枝長および乾燥処理当年に未結果であった主枝の翌春の着花数に悪影響を与えるため、この時期に土壌を湿潤状態に保つことが重要と考えられる。
成果の活用面・留意点
  1. 本調査は80Lポットに植栽した3~4年生樹で行ったものである。
  2. 主枝別交互結実法および樹別交互結実法のいずれの着果方法においても活用できる。
図表1 220429-1.jpg
カテゴリ 乾燥 その他のかんきつ

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